夢幻を繋ぐ約束

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「あー…。」

「マスター、もう帰ってきたんやから元気だしてや。」



幻利たちはあの後何とかサカキの元から帰ってきた。しかし最後に言われたあの言葉が幻利の機嫌を悪くしていた。



―まぁいい。…しかし、一旦我々に関わった以上あの娘とブラッキーがただで済むと思うなよ?



自分がサカキに気に入られていることを知っているから簡単に片がつくと思っていたが、それは違った。どうやらサカキは夢依とブラッキーに目をつけたらしい。



「だから夢依の存在がバレないように今まで隠してきたのにさぁ…。」



ポケモンの言葉がわかると言うことはあの組織にとってもかなり欲しい能力だろう。それをわかっていたからなるべく夢依のいる場所に近い任務は自分がこなしてきたというのに。しかも在住地まで知られた以上、かなり危ない。

恐らく自分の見立てでは1年…いや、この組織が公になるまでは平穏に暮らせるはずだがそれもどうなるかわからない。



「…マスター、でもブラッキーも考えなしの奴やないやろ。」

「わかってる…。」

「それに、容姿はバレてないんやから。」



そう、それがまだ救い。ブラッキーの擬人化した姿は組織の奴の誰にも見られてない訳だからまず心配ない。夢依の容姿もまだ知られていないとはいえ、あの容姿は目立つ。一回見られたらまず覚えれること違いないだろう。



「まぁ、いざとなったら俺が何とかするか…。」

「でもお譲さんはマスターのこと覚えてないんやろ?大丈夫なん?」

「…多分な。」



覚えてない、と言うと若干語弊があるかもしれない。でも実際、今アイツのとこに行ってもアイツは俺のことがわからないだろう。

すこし曇った気持ちを振り払うために大きく深呼吸をする。もう自分の最後の仕事は終わった。あとは…。



「あとはアイツ次第だな…頼んだぜ。」



天井を見上げてポツリと呟いた。今、あの場所に向かっている者へ向けて…。




(…夢依。)

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