夢幻を繋ぐ約束

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―そこについた時、俺は幻利じゃなくなる。

テレポート先はサカキのための部屋。組織にいるとき用の部屋だ。サカキはテレポートしてきた俺たちを見て薄く笑う。全てを悟っているかのような顔が憎たらしい。一旦真音をボールに戻してサカキを見据える。



「幻利…あれを逃がしたらしいな。どういうつもりだ?」

「別に…ただアイツはいつになっても反抗が激しかったですからね。もう必要ないと思って逃がしたまでですよ。」



もちろんこんなことで納得するやつじゃないのは知っている。ほら、現に眉間にシワを寄せている。



「それなら何故一言、俺に言わなかった」

「アイツは俺の手持ちとしての扱いでした。俺の手持ちをどうしようと俺の勝手じゃないんですか?」



まだ、押せる。ここまではいつも通りにいけるけどここからは俺が畳み掛けないといけない。



「…その俺の手持ちに勝手に任務を与えたしたっぱがいました。その任務から逃げ出したアイツは半端に任務をして帰ってきました。」

「それがどうした。」

「半端者は俺の手持ちにいらないんですよ。他の奴にアイツを渡しても実験に使ったりするのは目に見えてましたしね。」



あー…半端者とか言いたくなかったな。この際仕方ないけど。俺の仲間は半端者の固まりみたいなもんだからな。…もちろん、俺も半端者だけどな。

するとサカキはフッと笑って勝ち誇った笑みになった。



「…半端者が不必要ならその半端者がどうなろうとお前には関係ないんじゃないのか?」

「いやね?俺にも情ってもんがあるんでね、どっかの幹部たちみたいに非情にはなれないんですよね。…俺が支配していたアイツの余生はアイツに返しますよ。」



さて、段々俺もめんどくさくなってきた。早く終わらせたいんだけどなぁ。

そして俺はフッと体の力を抜いて、また口を開く。

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