夢幻を繋ぐ約束 3ページ/3ページ 朝起きるとブラッキーがいなかった。 昨日はあの後確かブラッキーの姿はあったはずなのに。でも近寄ってはくれなかったしあたしも近寄ろうとはしなかった。 そして起きてブラッキーを探してみたらいない。 あたしはまた頭が真っ白になる感覚に襲われながらブラッキーを探した。 まず家の中を全部探して、それでも見つけれなかったから外まで探した。 なのに、 「はぁっ……はっ…なんで…いないの…?」 どこにもいなかった。あの日以来いつも一緒にいたのに。何で? 「……どうして急に…。」 あたしはあの子の言葉が解るから、ブラッキーもちゃんとあたしに一言ぐらい言ってからどこかに行くものだと思ってた。 …それはあたしの勝手な思い込みだったんだね。 あたしだけだったのかな…一緒にいて楽しいって思ってたの。 ……寂しい。 …寂しい? 「…ははっ」 喉から乾いた笑いがもれる。何だ…これが寂しいって気持ちだったんだ。 胸に穴がぽっかり空いて締め付けられる感覚。 そっか…いつの間にかあたしは、 「…側にいて欲しい、なんて思ってたんだ」 ずっと一人だったからわからなかった。 …ううん、"大事"って思える相手をあたしが作らなかっただけ。 「…こんな感情を持てるようになってたんだ」 それは今まであたしが持ってなかったもの。 …ブラッキーはあたしに大事なものを与えてくれたんだね。 でもそのブラッキーは今は、いない。初めて側にいて欲しいと願った相手はあたしの側から消えていった。 「…っふ……ぅ…ひっ……くっ……」 気づくのには遅かった。もうあたしの側にはいないのに今さら、後悔しても戻ってこない。 今まで大切と思える相手がいなかったあたしはこんな時どうしたらいいか知らなかったんだ。 初めての感情は (こんな風に泣いたのも、大事って思えたのも全部…与えてくれたのに) ―何で今、ここにいないの? back |