夢幻を繋ぐ約束 2ページ/3ページ 『…くそっ』 何やってんだオレは。 一線退くと決めたのはオレなのに。 (覚悟は決めていたはずなのに) 甘かった。オレの覚悟は全然足りなかった。傷つけることは解っていて…あんなことを言ったのに。 あいつがどんな反応をしようと関係ねぇって思ってたのに。 (あの時のあいつの顔が……離れねぇ。) あいつのあんな顔は初めて見た。動揺して、信じられないって顔。その顔がオレの脳裏に焼き付いて。ずっと頭の中で再生される。 今さら後悔してる自分に腹が立つ。…でも何より…。 (あんな顔させたくなかった…って思う自分がいることに一番、腹が立つ。) いつの間にかオレはあいつにほだされていた。側にいることが心地よくなっていった。そしてオレは… その儚い存在を繋ぎ止めておきたいと思った。 叶わないと解っていても (…オレは、どうしたいんだろうな…。…なんて、) そんなの自分の中では答えはもう出ちまってる。…本当の答えが。自分の立場なんて全く考えない答えが。でもそんな本心だって現実を見ればあっさり砕かれる。 でも一つだけ方法はある…これ以上、迷惑なんてかけたくなかったけど。 (…あいつのとこに行くしかねぇか) あんまり行きたくねぇけど唯一、あの組織の中でオレが信じられるやつ。 …頼る気なんてなかったけどこればっかりはあいつの協力が必要だ。 (…きっとあの場所にいるはず) back |