夢幻を繋ぐ約束

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『…くそっ』



何やってんだオレは。
一線退くと決めたのはオレなのに。



(覚悟は決めていたはずなのに)



甘かった。オレの覚悟は全然足りなかった。傷つけることは解っていて…あんなことを言ったのに。
あいつがどんな反応をしようと関係ねぇって思ってたのに。



(あの時のあいつの顔が……離れねぇ。)



あいつのあんな顔は初めて見た。動揺して、信じられないって顔。その顔がオレの脳裏に焼き付いて。ずっと頭の中で再生される。


今さら後悔してる自分に腹が立つ。…でも何より…。



(あんな顔させたくなかった…って思う自分がいることに一番、腹が立つ。)



いつの間にかオレはあいつにほだされていた。側にいることが心地よくなっていった。そしてオレは…



その儚い存在を繋ぎ止めておきたいと思った。


叶わないと解っていても



(…オレは、どうしたいんだろうな…。…なんて、)



そんなの自分の中では答えはもう出ちまってる。…本当の答えが。自分の立場なんて全く考えない答えが。でもそんな本心だって現実を見ればあっさり砕かれる。


でも一つだけ方法はある…これ以上、迷惑なんてかけたくなかったけど。



(…あいつのとこに行くしかねぇか)



あんまり行きたくねぇけど唯一、あの組織の中でオレが信じられるやつ。
…頼る気なんてなかったけどこればっかりはあいつの協力が必要だ。



(…きっとあの場所にいるはず)

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