夢幻を繋ぐ約束

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その後、夢依とブラッキーは半日かけて家をきれいにした。…なぜかブラッキーが疲れきっているが。



『はぁ…何でオレがこんなことを…。』

「おーきれいになったねぇ。」

『…能天気だな。』



本当にきれいになった。こんなきれいなの初めて家に来たとき以来じゃないかな。ちょっと感動した。



「…ブラッキー。」

『なんだ?』



夢依はブラッキーに顔を近づけて薄く、本当に薄く微笑した。



「…ありがとう。」

『……!…っあぁ。』



ブラッキーが目を見開いて夢依の顔を見直してもまだ微笑していた。



(…こんな顔もできるんじゃねぇか)



ブラッキーはどこか暖かい気持ちになった。それと同時にもっとこんな表情を見ておきたい、と。


なにせ今まで見た表情は無表情に近いものがほとんどだったから余計にそう思わせるものがあった


しかしブラッキーは目の前の少女にほだされたという事実に気づいていなかった。…気づいていないフリをした、と言う方が正しいのかも知れないが。



(ていうか何でオレはこんな世話を焼いてんだよ…)

「ブラッキー、お礼にお菓子作ってあげる。」

『………。』

「…ブラッキー?」

『っあ、あぁ…。』



何でボーっとしてるんだ。…まぁとりあえず作ろうかな。


そしてその後、お菓子は上手にできたけど台所の様子を見に来たブラッキーに片付けをしてないところを見られてまた掃除をするハメになった。


…もう今年は掃除しなくていいや。




(…お礼なんて言ったのいつぶりだろう…。)
(笑顔なんて向けられるようなやつじゃねぇのに…。)

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