太陽と月
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それから、ポッチャマの案内の元での行動が始まった。この船は見た目に違わず、すごく広い。ポッチャマがいなかったらきっと迷っていただろう。ずっと変わらないきらびやかな内装と照明に、頭がくらくらしてくる。

なるべく静かに歩いて、人の気配がしたらアブソルが教えてくれる。おかげで随分と楽に進むことができている。

『……おい、あの部屋から人間の気配がするぞ』

『あ、あそこは……船長さんの部屋……』

「船長さん?」

『うん、僕のお世話をしてくれてたの』

心配そうに部屋を見つめるポッチャマ。船長さんの部屋なら、本人がいるだろうか。もしいるのなら、状況を聞けるかもしれない。
部屋の前に立って、ドアに耳を当てると、数人の声が聞こえた。

「何人かいる……」

『……おい、どうする気だ』

「船長さんがいることに賭ける。……アブソル、準備だけしてくれる?」

『知らねぇぞ』

素っ気なく言いつつも、ちゃんと構えててくれている。ポッチャマは、肩にしっかりとしがみついた。
手汗が滲む、ドアノブを掴む、そして、勢いよく開けた。

『! 船長さん!』

開けた瞬間に誰よりも早くポッチャマが叫んだ。中には、部屋の奥で、椅子に縛られた船長さんと、R団のしたっぱが二人。見張るようにして船長さんの脇に立っていた。

「!? 誰だてめぇ!」

「待て、連絡のあったガキじゃないか?」

『船長さん!!』

「ポッチャマ!無事だったのか!」

次々に声が飛び交う。即座にドアを閉めた。ポッチャマが飛び出そうとするのを抱き締めて止める。今が一番の混乱状態。今しかない。
指示を出す前にアブソルが前に出た。低く、唸り声を上げて。よし、準備万端だ。

「アブソル、さっきと同じ!気絶させて!」

「くそっ!出てこいズバット!」

『……おせぇ……!』

「ぉ、ぐっ……!!」

一人がズバットを出したけれど、もう片方はまだだった。その隙を狙って、アブソルは片方のしたっぱのお腹にタックル。少し強かったのか、したっぱは壁に打ち付けられてそのまま気絶した。

「!アブソル危ない!」

後ろから迫ってきていたズバットが、アブソルの首筋を狙って噛みつこうとしていた。 アブソルが後ろを振り向こうとした時には、もうすでにそこまできていたのだけれど。

「ポッチャマ! バブル光線!」

その声と同時に、ポッチャマはうちの腕から飛び出して、気づけばバブル光線を放っていた。ギュンッと勢いよく飛び出たバブル光線は、そのままズバットに命中。これも壁に叩きつけられて、そのままずるずると落ちてしまった。

「う、嘘だろ、」

「アブソル!」

今だ! とアブソルに声をかけると、アブソルは直ぐ様狼狽えるしたっぱに飛び込んで、お腹に向かって一直線。そのまま潰れた蛙みたいな声を上げて気を失った。

シン、と一瞬静まりかえる室内。それを破ったのはポッチャマだった。

『船長さん!よかった!』

「あぁ……ポッチャマ、無事だったんだね」


船長さんに飛び付いてぼろぼろ泣き出してしまったポッチャマ。きっとずっと我慢していたのだろう。頭を擦り付けてうーうーと泣いている。

「アブソル、船長さんの縄を切ってくれない?」

『……チッ』

アブソルは舌打ちをしつつ渋々といった様子で、船長さんを縛っている縄を爪で切ってくれた。
そして、船長さんはうちの方に目を向けて、にこりと微笑んでくれた。

「助けてくれてありがとう。ポッチャマも君が?」

「は、はい。ほ、ほかのポケモンたちも捕まってたんですが、ポッチャマだけ目を覚ましたので、それで……」

「そうか……。よかったら、ここまでの経緯を話してくれないかい?」

船長さんに促され、うちはここに来るまでの経緯を話すことになった。ポッチャマをボールにいれたことも、全て。

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