彼らに祝福を
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今日は心我と買い物に来ている。そう、心我と買い物に来ている…はずだったんだよ。
なのに、
「…はぐれた。」
ごめん心我、見事に迷子になったよ。しかも全くここがどこかわからないや。
途方にくれた陽佐は、どこか落ち着ける場所を探そうと辺りを見回した。
すると近くにベンチがあったのでそこに行って少し休憩することにした。
「うーん、これはマズイ。」
ボソリと呟いてみても当然、状況は変わらない。しかし口に出した様にこの状況はとても悲惨なものだった。
はぐれたのが夜月とかだったらまだよかった。だが相手はあの心我。見つけた時に何を言われるかわかったもんじゃない。
「ここにいても暇だし…。うーん。」
「…あれ、陽佐ちゃん…?」
悶々と悩んでいると、ふいに名前を呼ばれた。驚いて声のした方を向くと、そこには黒いロングヘアーをなびかせた女の子が。
陽佐はその女の子を見た途端、ベンチから立ち上がって目を輝かせた。
「ま、舞ちゃん!」
「やっぱり陽佐ちゃんだぁ!」
「よかった、知ってる子に会えたっ…。」
安堵した陽佐はホッと一息ついた。
そして不思議そうにしている舞に事情を説明することにしたのだった。
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