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そこからは流れるように作業が進んでいき、あっという間に完成間際まで終わった。とは言っても、型抜きはまだ終わってないが。



「…何かさぁ、心我と作っただけで早さ全然違うんだけど。」

「そうですか?」



何てことなさそうに言う心我。確か料理を教えたのは自分だった…。などを思いながら、クッキーの型抜きをこなしていく。あとはこれをオーブンに入れるだけだ。



「…陽佐さん。型抜き終わりましたか?」

「あ、うん。ほら全部できたよー。」



心我に自慢気に見せると、よくできましたと頭を撫でられた。子ども扱いに少しムッとするも、達成感で子ども扱いされたことを無理やり消し去った。


そしてオーブンに入れた後は暇なため、どうしようかと思案していると心我がこちらに近づいてきた。



「陽佐さん、貴女はチョコは好きですか?」

「え?…うん、好きだけどさ。」

「……。」



すると心我は妖しい笑みを浮かべて陽佐の片腕を掴んで台所まで連れ戻した。

全く心我の意図が読めない陽佐は抵抗する間もなく、心我に連行された。



「あの…心我さーん?」

「はい、あーん。」

「……………は?」



あーんと言われたものの、目の前に差し出されているものがどうにも信じられない。目をパチパチさせてみてもそれは変わらない。

……どうやらこれは心我の指らしい。溶かしたチョコ付きの。



「どうしたんです?ほら、チョコが勿体ないじゃないですか。」

「いやいやいや。そういう問題じゃ…っ!」



文句を言おうと口を大きく開けた瞬間に、指を口内に突っ込まれた。反射的に口を閉じてしまう。

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