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夜月は片手で顔を覆い隠し、俯いてしまった。その様子を見た陽佐は悪戯が成功した子どものように、にこにこと笑っていた。



「へへっ…夜月、早く受け取ってよー。」

「るせ……。」



とりあえずその袋を受け取った夜月は、陽佐がくれたということが余程嬉しかったのか、目を瞑ってまた布団に潜り込んでしまった。



「え、ちょ…夜月!?」

「うるせ、寄ってくんな馬鹿。」

「酷い!照れてるからってそりゃないでしょー。」

「黙れ。誰が照れてんだよ。」



そんなやり取りをしながら、楽しそうに陽佐が夜月をつつく。つんつんと何度もつついていると、急に夜月に腕を掴まれた。


そしてそのまま、ベッドの中に引きずり込まれた。



「は…ちょ、夜月!」

「……一回しか言わねぇからな。」

「へ?」



不思議に思って夜月の顔を見てみると、少し顔の赤い夜月の整った顔が思いの外近くにあって思わず固まってしまった。

そして真剣な目をした夜月の顔が少し、近づいて心臓が跳ねる。そんなことをわかっているのかわかっていないのか、夜月は低く、陽佐に囁いた。



「…………サンキュ。」

「っ…うん。」



それだけを言って陽佐を解放すると、顔を赤くした夜月がしてやったりとした顔でこちらを見ていた。



「……ばか。」

「お互い様だろ。」

「認めてるし…。」

「うっせ。…後でこれ、食べるからな。」



夜月は陽佐から受け取った袋をもってベッドから下り、部屋から出ていった。

…出ていく直前に照れくさそうに微笑していたのは陽佐だけが知る秘密。





(…まぁ、嬉しくないこともない。)

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