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「づ…。…よ…。」



煩い。こっちは寝てんだよ。誰だっての…安眠妨害する馬鹿は。

夜月は微かに浮上した意識をまた沈めようと自分を呼ぶ声を無視して再度寝付こうとする。

だがそれは叶わなかった。

…耳元で聞き覚えのある声が自分の名前を叫んできたからだ。



「…夜月ぃい!」

「うっるせぇええ!」



勢いよく体を起こすと、声の主は跳ね上がって夜月から離れた。



「ど…どうも夜月さん。ご機嫌斜めですね…?」

「どっかの馬鹿が耳元で叫んできたお陰でな。…で、何の用だよ陽佐……。」



完全に拗ねている夜月は気づかなかった。陽佐が後ろ手にラッピングした袋を隠していることに。

陽佐はにんまりとしながら勢いよく夜月にその袋を突き出しながらこう言った。



「ハッピーバレンタイン、夜月!」

「…………は?」



きょとんとした夜月は、状況を全く理解できなかった。だが、陽佐の言葉の意味を理解した瞬間に顔が赤く染まった。

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