ルークからの問いに、チーグルはこくこくと何度も頷いた。みゅうみゅう、と言われても何を言っているのか、さっぱり分からない。だが、この青い聖獣が自分のことを覚えていて、こんなにも必死に再会の喜びを表してくれるのが、たまらなく嬉しい

「とにかく、このままじゃ話も出来ない。一旦、あの長のところに行くぞ」

ミュウも話を出来ないもどかしさがあったのか、言葉ではなく頭を何度も頷く。分かりましたですの、と聞こえないはずなのにこいつならこう言うだろうと容易に想像がつく

「おぉ、これはルーク殿。それに、ミュウ。一体何事か」
「みゅみゅ、みゅうみゅみゅ」

ルークが説明するよりも早く、ミュウがルークの腕から飛び降りて長と話を始めた。互いにみゅうみゅうと話す光景は、何度見ても少々うざく感じる。ティアだったら、カワイイとほのぼのと見そうだが、ルークはそう思えるわけがなかった

「ご主人様!ソーサラーリングを借りれましたですの!これで、ご主人様とお話が出来ますの」

ぴょんぴょんと跳ねながら、嬉しそうに近付いてくるミュウに、ルークは地面に膝をついて目線を合わせるようにしゃがんだ。これでもかなりの身長差はあるが、立って話をするよりはマシである

「お帰りなさいですの!ミュウ、ずっとずっとご主人様を待っていたですの!!」
「よくオレだって分かったな。髪の色は変わってるし、服装も違うのに」
「みゅ?姿は変わっていても、ご主人様はご主人様ですの!ミュウ、すぐに分かったですの。ご主人様が帰ってきたですの!」

ニコニコと嬉しそうに笑うミュウ。姿が変わっても、ルークはルークだと。それ以外、何もないのだと。そう言ってくれるのが、嬉しくてルークは泣きそうになるのを必死に堪えた。二年前の旅でも、ミュウはそう言ってずっとルークの傍にいてくれた。自分の主人は、ルークだけだとそう言っていた。それが、どんなに救われたことか

「―――ありがとな、ミュウ」

ミュウの頭を撫でると、嬉しそうに飛び跳ねながら、ルークの周りを走り回る。ご主人様が撫でてくれたですの、とぴょんぴょん飛び跳ねる様は、とてつもなくウザイ

「……やっぱ、変わってねーな。お前のそのうざさ」
「みゅみゅっ!?」

ショックを受けたミュウに、ルークは苦笑する。本当に変わっていない。あの頃に戻ったような気持ちだ

「ミュウ、お前の力を借りたい。どうしても行きたい場所があるんだ。一緒に、来てくれねぇか?」
「はいですの!ご主人様に、ミュウはついて行くですの!!」

即答するミュウに、長の許可はいいのかと聞くともう既に取ってあると言う。ソーサラーリングを借りる時に、その話はついていたらしい。ルークと共に行くことを、ミュウは再会した時から決めていたのだ

ルークはミュウを道具袋に入れて、急いでキムラスカへと戻る。レジスタンスが仲間救出へ向かって、メンバーが少しでもいない時にアジトに潜入したかったのだ。たった一人で何が出来るかは分からないけど、じっとはしていられなかった



一方、ジェイドは捕えたレジスタンスに、アジトや仲間のことを聞いていた。別名、拷問にかけていたという方が正しいが、まぁそれは置いておくことにしよう。ここはキムラスカなので、あまりでしゃばることは出来ない。が、ナタリアやアッシュのおかげでジェイドもこの場に立つことが出来たのだ。持つべきものは、やはり仲間なのかもしれない

一切口を割らないレジスタンスに、あとはキムラスカ兵に任せてジェイドは仲間達の元へと戻った。自分を待っていたらしい彼らは、ジェイドを見ると一斉にどうだと話しかけてくる

「ダメですね。恐らく、死ぬまで話すつもりはないのでしょう」
「……そうか。少しでも情報を得られるかと思ったんだけどな」

ガイは、そう言うがあまり落胆しているようには見えない。恐らくだけど、最初からこうだとは分かっていたのだろう。自分達と心中しようとしていた奴が簡単に口を割ることはないと

レジスタンスの所持品にも、特にアジトなどを示すものはなかった。武器や、妙な音機関もさほど重要なものでもない。さてどうしたものかと思っていると、ノックが聞こえて兵士が入ってきた

「失礼します。ナタリア殿下、今よろしいでしょうか」
「えぇ、どうしましたの?」
「それが……幼い少女が殿下に伝えたいことがあると、その……城の前から一向に立ち去らないのです。ある人から伝言を頼まれたとのことで。殿下御本人にしか、話をしないとの一点張りでして」
「まぁ、なんでしょう」

幼い少女の目的が何かは分からないが、ジェイドはある人からの伝言というのが気になった。どうするか考えているナタリアに、ジェイドは話しかける

「少女がどうこうするとは考えられませんし、ここは話を聞いてみませんか?」

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