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ユーリは真夜中に、こっそりとルークの枕元に近づく。ぐっすりと眠っているルークが起きる気配はない
アンジュにどうやったらサンタが来るのかと聞いて、ちゃんと大きな靴下も下げていた
音を立てずに紙を開くと、ユーリはルークらしい願いに笑ってしまう
そっと部屋を出て、待ち構えているルーク馬鹿に紙を見せた。皆、可愛らしい願い事に微笑む
『ゆーりやみんなと、たくさんけーきがたべたい!』
ユーリや料理が得意な者達が協力して、急きょ可愛らしい願い事を叶える為に食堂に向かった
「んじゃ、頑張りますか」
ルークが嬉しそうに笑ってくれる事を願って
ドタバタと騒がしい足音にユーリは目が覚めた。さっき眠ったばかりだというのに、一体誰が騒いでいるのかと思った矢先、ルークが寝癖がついたままユーリのベッドに上がってくる
「ゆぅり、ゆぅり!!サンタさん、きた!!いっぱいけーきがあった」
ユーリも一緒に食べようと引っ張る。ここまで喜んでくれるなら、徹夜で作った甲斐があるもんだ
すでに誰かが食堂に運んでくれたらしい。恐らくは同室者のガイだろうが
「けーき、みんなでたべる!」
「なら、皆を起こしてきてくれるか?」
「あいっ!!」
早く食べたいのを我慢してルークは起こしに行った。ルークだったら、誰も怒る者はいないだろう
「起きた時から、ずっとはしゃぎっぱなしだ。まぁ、こんな経験ないからな」
ガイの言葉に、自分達にとっては当たり前の事を、貴族は自由に出来ないのだと改めて思い出した
「これについては感謝するが……嫁にはまだやらないからなっ!!」
ビシッと指を差されて忠告される。昨日のルークのお嫁さん発言やキスを根に持っているらしい
が、ここで黙って身を引く気はない
「わりぃが、さらってでもあいつを手に入れるって決めたんだよ」
「……上等だ、ルークに関しては譲らないからな」
バチバチとユーリとガイの間で火花が散る
「ゆぅり、がぁい!けーき、いっしょたべる!」
ルークが入ってくると、後ろからぞろぞろと現れた。真っ直ぐにユーリに抱きつく。ガイから悔しそうな視線を感じたが、無視だ無視とルークを抱き締める
「よし、食うか。メリークリスマス、ルーク」
「う?あいっ!めりーくりすます、ゆぅり!!」
皆さんにも、素敵なクリスマスが訪れますように
END
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