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「あらルーク君、お手伝いしてるの?偉いわね」
「あいっ!あんじゅおねえちゃん」
クレアやリリス達の掃除を手伝っていたルークの頭をたまたま通りかかったアンジュが撫でる。嬉しそうに受け入れる姿はとても可愛い
あれからルークが食べた菓子はジェイドが作ったものだと分かった。うるさく付きまとってくる下僕を黙らせる為の実験で作ったものと、無害のものを逆にしてしまったのだ
今、解毒剤を作っている
それまでの間、記憶まで後退してしまったルークの面倒を誰が見るかという話で次々と名乗り出た
「俺はルークが子供の時から一緒にいるんだぞ。ルークの全てを知っている!」
復活したガイに、周りはブーイングの嵐だった。ルークの愛らしさに倒れた事を知られてしまい、そんなんじゃ面倒は見れないと皆最もな事を言うが、誰しもが愛しい子供の傍にいて、株を上げたいのだ
「ゆぅり、ぷりんたべたい!」
「は?」
ルークの事で殺気立っているというのに、当の本人は呑気にユーリの膝の上にいそいそと上がってきた。慌てて支えてやると「プリン」と連発する
「……僕が食べているのを食べたいと言うから、ユーリに作ってもらえと言っただけだ」
あの輪には入らずにプリンを食べていたリオンがそう言った。どうやら羨ましくなったらしい
「分かった。作ってやるから、いい子で待ってろよ?」
「あいっ!!わぁーい、ゆぅりのぷりん〜!!」
満面な笑顔のルークの頭を撫でて立ち上がる
「リオンも食べるか?」
「……作るなら、食ってやってもいい」
決まりだとユーリはキッチンに立つ。ルークは椅子に立って、物珍しそうに眺めている。リオンはルークが落ちるのではないかと、ハラハラしながら「ちゃんと座れ」と怒っていた
一連のルークの行動を見ていたアンジュは、ルークに近づく
「ルーク君は随分とユーリさんに懐いているのね?」
ユーリの傍から離れないルーク。ガイがあの妙なテンションだから、当然というば当然かもしれないけど
「あいっ!ゆぅり、だいすき」
「っ!?」
ルークの言葉に動揺したユーリはボールを思いっきり足に落として痛いのを堪えていた
更に周りのルーク大好き人間達の絶叫が響き渡った
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