あいしてやろうか | ナノ



(美愛と遊愛)



「ルダスって、食べ方えろいよね」
僕がそう言うと、ルダスはハンバーガーを口に運ぶ仕草を止めて、ああ? と眉間に皺を寄せた。
ああんもう、そんな表情するなよ、せっかく綺麗な顔立ちなのに。
口には出さないで自分の眉間を指で何度か差してみせると、ルダスは一瞬眉間に指先を運んでから、鬱陶しそうにひときわ顔を顰めて、ふい、とそっぽ向いた。そうしている間にルダスの手の中でてりやきバーガーのソースがどろりと垂れて、そのまま手のひらを汚す。ルダスは舌打ちして慌ててそれを舐めとってから(多分、シャツの袖を汚したくないからだ)、再びハンバーガーに齧りついた。
その仕草はなんだか子供みたいで可愛らしいけど、裏腹に、唇はグロスを塗ったみたいにてらてら光ってすごくえろい。ちなみに咀嚼するたびに首筋に血管が浮かぶのも、僕的にはすごく高ポイントだ。
「首筋もえろいな」
思ったままを口にすると、ルダスが再び盛大に舌を打つ。
「ンだよさっきから……盛んじゃねえ、鬱陶しい」
「やっだあ、下品な物言い〜」
「事実だろうが」
ルダスはそう言い捨てて、最後の一口を含んで唇をぺろ、と舐める。
本当、裏腹な奴。……さっきからそれ、誘ってるようにしか見えないんだけどなあ。
「ねえ、僕さあ、ファックするときは必ず美意識使うようにしてんの。だって僕が僕を組み敷くなんて、考えただけでそそるでしょ?」
唐突な僕の言葉に、ルダスは再び顔を顰めて声を荒げる。
「知っらねえよ、モノ食ってんだからシモの話すんじゃねえよ」
……ふーんだ、すげない態度。だけど別に構わずに、僕は話を続ける。
「でもさ、ルダスとなら美意識使わないでも出来ると思うの……ねえ、これって愛の為せる業だと思わない?」
するとルダスは少しだけ瞳を見開いて、真意を図るように僕の顔を見た。だから僕もお返しとばかり、とびっきりの笑顔でルダスの顔をまじまじと見つめてやる。
しばらくそうして見つめあっていると、ルダスの方が先に視線を外して、盛大な溜息をついた。同時にぐしゃ、と音がするから何かと思えば、食べ終わったべとべとの包み紙を握りしめる音。
「……テメーごときじゃ役不足だ、ばーか」
そう言ってルダスは、握りしめた手のひらについたソースをこれ見よがしにれろ、と舐める。
僕は居ても立ってもいられなくなって、乱暴に自身のネクタイを解いた。



あいしてやろうか
by 首路


20110327

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