ピエロが泣く



 週の始め、俺は何ともいたたまれない気持ちに襲われる。なんでかって、そりゃ桜乃に会えないからに決まってんだろ。月曜日って言ったらこれから5日間学校ってものがあるわけで。それが終わったらテニスの練習があるわけで。それが済んだら当然桜乃の門限過ぎてるから会いにも行けないわけで。会えないわけで。桜乃不足で死んじゃいそうな日々が続くんですよ。そりゃーもうキツイっすよ。何日かテニスにも身が入らないときがありましたからね。もちろん試合には勝ちますよ。当たり前じゃないっすか。負けたりなんかしたら桜乃に合わせる顔がないっすからね。勝てば桜乃の超絶かわいい笑顔が見られるし。好きな女にカッコイイとこ見せたいってのは男だったら誰でもそう思うはずでしょ。特に相手が桜乃だからね。桜乃は本当にかわいいんっすよ。
 あ、そういえば桜乃って方向音痴だよね。道に迷ったりしてねぇかな。昨日のデートでははぐれないように手を繋いで歩いたっけ。しかも、恋人繋ぎでテンション上がっちゃったんだよね。うん。だって桜乃ってば恥ずかしがるからさ。顔真っ赤にしちゃって、可愛かったなあ。俺まで照れちゃって。嘘です、たぶん俺のほうが緊張してました。だって桜乃とてて手を繋ぐなんて…幸せ過ぎるぜぇぇ!俺は幸せ者だ。昨日のデートは幸せだった。

―そんなこんなで俺の地獄の日々が幕を開けた

「あー桜乃ぉ…」
「バカ也がうざい。俺も毎回毎回嫌んなっちゃうぜ。だいたいこいつ一日に桜乃ちゃんの名前何千回口に出してんだよ。」
「さあ…5000回くらいじゃないか?」
「いえ、正確には5471回です」
「「…うわぁ…」」

・・・

 月曜日は特に学校で授業してるときも、テニスの練習をしてるときも気づいたらボーッとしてるらしいが、家では少しの時間だが桜乃とメールをしたり電話をしたりしているからすんごく気分がいい。桜乃のかわいい声を聞いたりとか、たまに送られてくる友達と一緒に写っている写真を見ると思わず顔がニヤけちまって俺って変態みたいじゃん!とか思うけど、やっぱりそれは桜乃だからなんだなあ…とか思い直しよしとする。
 あー今日は長電話しちゃったなあ。桜乃怒ってないかな。好きだなあ。会いたいなあ。桜乃愛してる。月曜日という日は魔の日だ。今日一日何をしたのか覚えていない。それはたぶん毎週そうだ。月曜日は何もしていない。ああ、早く明日になんねぇかな。なんかとりあえず、寝ちまおう。

「おやすみ…桜乃」

 もちろん愛しのお姫様の写真にキスをするのを忘れずに。








あとがき
赤也くんはとことん桜乃バカでいいと思います 笑


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