キス魔とピュアレディ
「ん、んっ…ぷはー」
先程から何回目だろうかと数えてみるとすでに20回は余裕で越えているだろうキスを思い出すと思わず赤面してしまう。 越前リョーマと竜崎桜乃は同級生であり、恋人同士である。越前リョーマといえばわずか一年生にして全国をも敵ではないといった天才スーパールーキーである。しかし彼の本性は恋人である竜崎桜乃しか知らない。じつは、彼は、すぐどこでもキスをしたがる。普段はクールでポーカーフェイスな彼からしたら想像もつかないほど甘く、そして激しく彼女である桜乃に口付けるのだ。その行為は一日何回というわけでなく、先程言ったように「暇さえあればいつでも」といった感じである。しかし、桜乃は一般の人よりもさらに上回る恥ずかしがりやでそんなに何回もキスをされていたら恥ずかしさで気絶してしまうのではないかといういきだ。それをなんとか耐えてリョーマの恥ずかしい行為を受けているのだ。ほら、今も。リョーマのキスの雨は止まない。
「ん、んっ…」
角度を変えて何度も何度も繰り返されるキスに前は精一杯ついていこうという気持ちだったが、最近はその甘いキスに酔ってしまったのではないかという気分になる。つまり、いつの間にか夢中になっているのだ。
「リョーマく…ん、」 「桜乃…もっと、していい?」 「…うん」
こう言うということは、もっと大人の、深いキスをするということ。桜乃がこの意味が分かるようになるまで何ヵ月かかったことか。今も慣れたというわけではないが、だいぶこの行為には免疫がついたと言って良いだろう。それにリョーマ曰く「これ以上のこともやってんだからこんくらいで恥ずかしがってたらきりがないでしょ」らしい。 全くこのバカップルは一体いつまでキスを続ける気だろう。
「リョーマく…も…無理…」 「ダーメ、離してやんない」
桜乃の弱々しい抵抗も無に等しい。この王子様に捕まったらもう離れられない。囚われの身のお姫様に成り下がるしかないことは世界中の誰よりも桜乃一番知っている。ああ、毎日繰り返されるこの行為は一体いつ休息をとるのだろうか。リョーマにとっては疲れを癒す休息がこの行為なのだろうが。それはつまり、一生キスに休みの日なんかないということであって、言い換えるとこのまま死ぬまでこの分厚いキスを目一杯繰り返し続けるということだ。
ー100万回キスしたって足りるわけがない
王子の目はそう語っていた。
あとがき 王子と姫のキスっていいですよね。
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