誰にでもスキだらけ



 毎日常に思う。俺の可愛い可愛い桜乃を守らねば、と。理由はひとつ。三ヶ月前晴れて俺の恋人になったのにもかかわらず、桜乃を狙う野郎が増える一方だからだ。この間もウチの部長がにっこり天使の微笑みを見せて桜乃に近づいて行った、俺の目の前で、見せつけるかのように。副部長が普段見せないようなたじたじな感じで桜乃とお喋りしてた。桜乃も笑ってた。データマンが、紳士が、詐欺師が、…とにかくテニス部全員がまだまだ桜乃に行為を寄せているということが分かった。
 そりゃ、俺が桜乃を取っちゃったのは悪かったと思うけど、俺が一生桜乃の傍にいて桜乃を幸せにするんだからもう手は出さないでほしい。てか、出すな、触んな、見んな、話すな。俺だけの桜乃なんだから!

「あー!桜乃ちゃん見ーっけ!」
「は!?どこっすか!?…って、丸井先輩!?」

 おいおい、まじかよ。もういないじゃん。くそ、これじゃあ桜乃がどこにいるか分からねぇ。とりあえず、走るか。ああもう!先に丸井先輩に見つかっちゃったら桜乃、あの人に何されるか分からないじゃんかよ!危ないじゃねーか!!


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