女の子は甘いお砂糖でできている



 校門の前で可愛い女の子が待っていますよ、と告げられた。しかし立海レギュラーメンバーは誰一人そんなこと言われても全く興味を持たなかった。なぜならば彼らには既に心に決めた人がいるからだ。幸か不幸かその人は全員一致している。長いみつあみが特徴で目が大きく小動物みたいに可愛い少女。例えるならば大和撫子みたいな純粋で可憐でそれはそれは可愛くてレギュラーメンバーは皆彼女を溺愛している。
 可愛い女の子と聞いて頭に浮かぶのは当然彼女のこと。しかし彼女は東京に住んでいるため今ここにはいるはずがない。だけど後輩の口から告げられたあることを聞いたレギュラーメンバーは、一斉に校門までダッシュしていった。あることとはその女の子の姿形である。それはついさっきから今まで脳内に浮かんでいた少女とぴったり一致していたのだ。もうこれは確信したとばかりに目を輝かせ走っている強豪立海のレギュラーメンバーは新鮮で偶然見たものは目を疑ったであろう。
 そのまま校門までたどり着くと待っていたのは確かに会いたくてたまらなかった大好きなあの少女で。一番先に着いた切原をはじめ、皆小さな少女を抱き締めた。

「さっくのー!久し振りだな!元気だったか?」
「桜乃ちゃん!よく来たね。俺に会いに来てくれたのかな?」
「おお!桜乃ー!ちゅーするぞーぃ!」
「うむ。ここ最近顔を見なかったから心配してたぞ」
「可愛こちゃんがこんなところに一人でいたら危ないじゃろ。俺のところに来んしゃい」

 皆ひとりひとり桜乃と呼ばれる少女に言葉を添える。大きな男たちに抱き締められた桜乃はすっぽり覆われてしまい、見えなくなってしまった。感動の再会を満喫してやっとひとりひとりが離れたあと改めて顔を見せ、ぺこっとお辞儀をした。

「お久し振りです!みなさん!」

 それはもう可愛い笑みで。それを浴びてしまった者はノックダウン。無意識に皆頬が赤くなっていく。中には鼻血を出す者も。そして今にも手が出そうなのを必死で耐えているものも。桜乃のこととなると王者立海もただの男でただの変態なのである。

「あのー…幸村さん、その子とはどういう関係?」

 近くにいた幸村ファンの女生徒は恐る恐る訪ねてきた。幸村ファンだけでなく、丸井ファン、仁王ファン、切原ファンと次々にこの溺愛されている女の子が気になり問いかけるのだった。
 その中で、さすがと言うべきだろうか。何の恥ずかしげもなしに幸村は高らかに宣言した。

「この子は僕たちの彼女だよ?って言ってももうすぐ僕だけの彼女にするつもりだけどね。世界で一番大切で、誰よりも愛してる、たった一人の可愛い女の子なんだ」

 それを聞いたファンの子たちは皆ぽかーんとして口が空いたままフリーズしていた。立海メンバーは「最後の方は合ってるけど、桜乃の彼氏は俺だ!」と幸村が言ったことに対して反論していた。当の本人桜乃はと言うと、真っ赤になって口をぱくぱくとさせ今にも気絶しそうになっていた。それくらい衝撃的な言葉だったのだ。それをさも当然のように言う幸村は、また当然のようにその言葉を受け入れるレギュラーメンバーはやはり最強なのである。

 そんな男たちを虜にしている少女、竜崎桜乃はこの地球上の誰よりも最強の女の子なのかもしれない。








あとがき 20130612
レナさん、大変長らくお待たせ致しました!
立海と桜乃の組み合わせは大好きなのですが、わたしの文章力ではレギュラーメンバー全員と絡ませるというのは難しく、部長がいちばん目立ってしまいました。
ごめんなさい…!
腑に落ちない点とかあったらご連絡ください。
それでは、リクエストありがとうございました(*^^*)



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