テニスログ | ナノ


竜崎桜乃と付き合い始めてから、3ヵ月以上たつ。あの桜乃相手にそれなりに進んではいるつもり。やることすべてやったしね。けど、桜乃は一度も自分からキスしてきてくれたことはない。


「ねぇ桜乃」
「なあに?リョーマ君」
「キス、してよ」


ある日、とうとう俺は桜乃に言ってみた。「キスしてくれ」と。


「む、無理だよぅ!!!///」


そしたら桜乃は、顔を真っ赤にしてブンブンと首を横に振った。「無理だ」と言って。そこまで拒絶されるとさすがの俺でも落ち込むんだけどね。


「なんで?キスよりもっとすごいこと、いつもしてるじゃん」
「あ、あれはリョーマ君が…!!」
「俺が、なに?」
「うぅ…////」


「俺が無理やりやった」とでも言いたいんでしょ。確かに無理があったけど、桜乃もまんざらじゃなかったみたいだし、桜乃のこと好きすぎて歯止めが利かなかったんだよね。今までにないくらい可愛い顔してたし。


「ねぇ、言ってよ。桜乃」


桜乃の耳元に唇を近付けてみる。案の定彼女は固まって顔を真っ赤にさせながら必死に耐えていた。


「リョ…リョーマく…ん…」


恥ずかしそうに俺の名前を呼ぶ彼女には「可愛い」という言葉しか思いつかない。本気で困っているようだから許してあげようとも思ったけど、俺もここは絶対引けない。桜乃のこと本気で好きだからこそ桜乃からキスしてほしいと思うんだ。


「もういいよ…桜乃…ごめ…」


言葉を言おうとしたときだったその言葉を最後まで言うことは許されず唇に温かいものがあたった。それが彼女の唇だと分かったのは彼女が唇を離したときだった。


「わ、私は…リョーマ君のこと、だ…大好きだよ…?だから、リョーマ君とのキスだって嬉しい…。全然嫌じゃないの…。でも…は、恥ずかしい…///」


初めて彼女からしてくれたキスは温かくて、優しくて、俺に好きだと伝えてくれた。すぐに離れてしまったことを寂しいと思わせる、そんなキスだった。




優しいキス,温かいキス



- ナノ -