「ん…っ…」
カーテンから差し掛かった日差しが眩しくて、目が覚めた。
私は、サスケ君の腕の中にすっぽりはまっている。
ぎゅっと強く抱きしめてくれていて、腰には手が回されている。
まだ吐息が聞こえるからきっと夢の中なんだろう。
(どんな夢を見ているのかな…?)
こんなことを考えながら、私はサスケ君の腕から抜け出し、布団から出た。
こうして朝を迎えるのは何度目だろう。
隣には愛しいサスケ君がいて、サスケ君のちょっと無防備な寝顔が見れて、サスケ君のために朝食を作って、サスケ君の帰りを待つ。
…まるで新婚さんみたい…なんてね。
ちょっと夢の見すぎみたい。
「さーて、はじめるかっ」
また新しい一日のはじまり。
**
「あっ、お帰りなさい!サスケ君っ」
「ああ、ただいま」
一日の終わりは早い。
サスケ君が任務を終えて、帰ってきた。
これは私たちの間での決まりごと。
行ってらっしゃいのキスとお帰りなさいのキスは絶対。
ご飯は二人で一緒に食べること。
「サクラ…」
「なあに?サスケ君」
「サクラ…俺のこと、好きか?」
「へ?」
「いや、だから…」
「好き、大好き、愛してる」
「…そうか」
どうしたのかしら、いきなりこんなこと聞いて。
不思議に思ったけど、とりあえず正直に本当のことを答えてみた。
サスケ君ったら、耳が少し赤い。
でも、なぜか考え込んでしまった。
一体なんだったんだろう…?
その日は気になって気になって眠れなかった。
次の日、ナルトに昨日合ったことを話した。
そしたら、あいつはぎくっとして何だか慌てた様子だった。
…何かある。
そう思った私はナルトに問いただしてみたけど、…ダメだった。
さすがにナルトは口が堅い。
(…ん?待てよ、これってサスケ君が私に隠し事をしているってことだよね…)
サスケ君の口から直接聞きたくなった。
**
「…サスケ君」
「なんだ?」
「…何か私に隠し事、してない?」
「…」
あ、黙った。
やっぱりあるんだ。隠し事、
「…私には言えないことなの?」
「いや…」
「…ならどうして黙ってるの?」
サスケ君は一向に私と目を合わせようとしない。
黙ったままで何も言ってくれない。
ああ、もう。なんだか泣きそう。
「うぅ…ひっ…くっ…」
「お、おいっ!さ、サクラっ」
「サスケ…君の…ひっ、く…バカぁ…っ」
「泣くな!言うから!泣きやめ!」
泣き崩れていた私を子供をあやすみたいに優しく頭を撫でてくれた。
サスケ君もこんなことできたんだ、と感心する。
そして、とても心地良い。
「じ、じつは…」
サスケ君はゆっくり話し始めた。
いつものクールなサスケ君ではなくて、耳まで真っ赤になっていた。
「サクラ…うちはサクラに、ならないか…?」
「…へ?」
最初、何を言われているのか分からなかった。
ただ、目の前に見えるのは、サスケ君の真っすぐな瞳。
それを見た瞬間、今言われたことの意味を理解した。
「サスケ君…それって…」
「ずっと前から考えていた。このままの生活も良いけど、その…」
「サスケ君…!」
私は思わずサスケ君に飛びついた。
サスケ君は私を優しく受け止めて、抱き締めてくれた。
「サクラ…返事は?」
「…分かってるくせに」
「分からないな」
「んもうっ」
こんなやり取りもとても幸せだなんて思うのは私だけかな。
サスケ君はとても優しい顔で微笑んでいた。
私も自然と口元が緩んだ。
そして、とびきりの笑顔で、はい、と言った。
―半年後、私は春野サクラから"うちはサクラ"になった。
約束、幸せにする
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10000hit記念小説。ツートーン様へ。
遅くなってしまって、すみませんでした!!
サスケ君のプロポーズを何て言わせようか迷いました…。
何だかまとまりがない話しになってしまって、すみません。
企画参加ありがとうございました。