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「ねぇ。サイ。何を描いているの?」

「ああ…ここの風景をちょっと…」

「へぇ、相変わらず上手いわね」


私とサイは親しい友達、という関係だった。
だから今もこうやってサイのところへ行っていろいろ話をしたりもする。
そして、サイが描く絵はどれも本当に綺麗だった。
絵は人の心を写すというけど、サイの心の中は本当に綺麗なんだなと思う。


「ねぇ、隣座ってもいい?」

「どうぞ」


私はサイの隣にそっと腰駆けた。
ふと、隣にいるサイの方を見てみる。
そしたら、今まで見たこともないサイの顔があった。
絵を描くことだけに集中している。
周りのことは見えないような、そんな真剣な眼差しのサイがいた。
私は笑みをこぼさずにはいられなくて、でもそんなことはサイは知らなくて。
声を出して笑ってしまうのを必死で耐えた。


「サイ、いつも一緒にいてね」

「何か言いましたか?」

「ううん、なんでもなーい」


今の言葉は私だけの秘密。
絶対もう言ってやんない。
今は、サイのこと見てるだけで面白いから、それだけでいい。
だけど、またこうやってお話をしてサイの描く素敵な絵を見れたらそれだけでいい。
いつか綺麗な私も描いてもらえるといいな。




昼下がりの素敵な休日

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