※学パロ
サクラは俺のことが好きだと思っていた。
自惚れていたのかもしれない。サクラが自分以外のやつを好きになることはない、と。
しかし、そんな俺のわがままで勝手な密かな期待と願いはある日突然崩れた。
放課後、いつもなら一緒に帰ろうとしつこく言ってくるサクラはそんなことは愚か、姿すら見せなかった。
おかしいと思い、校内をフラフラと歩いていたら…
―何でサクラがアイツと…?−
そこには、サクラともう一人、男がいた。
その男は確か、隣のクラスのサイってやつだ。
しかもそのサイってやつときたら、サクラの肩に手なんか置きやがって。
あいつらは一体どういう関係なんだ…?
いや、俺には関係のないことだ。サクラが誰と付き合おうと俺の知ったことじゃない。
…けど、どうしても気になってしまう。
俺は無意識に二人に向かって歩いていた。
そして、無意識にサクラの腕を掴んで、自分のほうへ寄せていた。
「…え?サス…ケ君…?」
「サスケ君じゃないですか、はじめまして」
こいつはやけに笑顔を作っていて、気に食わない。
同じ委員をしているというのに、何がはじめまして、だ。
関わりこそ持ったことはないが、確かに顔は合わせているはずだ。
「…俺はお前のことを前から知っている。お前はサクラとはどういう関係だ」
この色白男はさっきより少し目を見開いて、俺のほうへ近づいてきた。
「特別な関係…って言えば分かりますか?」
「えっ?サイ…?」
「なっ…!」
しれっと言うこの男に心底腹が立った。
こいつは俺の腕の中のサクラを無理やり自分の腕の中に閉じ込めた。
サクラは顔を真っ赤にしている。
(俺以外の男なんかに顔を赤くするな)
「サクラ!!」
「は、はいっ!」
「ちょっと来い!」
俺は強引にサクラの手を取り、校庭の方へ向かって走った。
後ろであの色白男が何やらぼやいているが、俺の耳には入らなかった。
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「さ、サスケ君…?」
走って、走って、体育館裏の倉庫までたどり着いた。
ここだったら、アイツは分かるはずもない。追っては来ないだろう。
「…サクラ」
もうここで、素直に言おうと思った。今まで俺は、サクラの気持ちには一切答えなかった。
だから、こいつはいつ好きなやつが分かってもおかしくないんだ。
それを、俺はずっと好きでいてくれるなんて思ってた。バカだ。勝手だ。わがままだ。
今ここで自分の気持ちを伝えなければ、サクラを他の男に取られてしまうかもしれない。
いや、もしかしたらもう手遅れかもしれない。…それでもいい。
サクラが誰を好きでもいい。誰の手に渡ろうと必ず奪い返してやる。
そんな覚悟を決めた俺は大きく深呼吸をし、サクラと向き合った。
「率直に言う…好きだ」
「…へ?」
「俺は、ずっと前からお前の気持ちを知っていた。知っていて、何も言わなかった。手遅れかもしれない。けど、俺はお前が…サクラが好きなんだ。」
やがて、サクラは涙をこぼした。
「さっ…すけ君…好き…大好き…!」
やっと俺たちの気持ちが通じ合ったそんな瞬間だった。
永遠のラブストーリー
「…そういえば、特別な関係って、どんな関係だ…?」
「え?ああ、サイが言ってたことね」
(サイ…?名前で呼んでいるのか…?)
「じつはね…サイはね、私の…」
(なんだ…サクラのなんなんだ…!俺のことを好きって言ってたのは、嘘なのか…!?)
「私のお兄ちゃんなの。義理の。」
「…は?」
「ふふ、びっくりした?」
「…ああ、」
(君のことにかかると、余裕でなくなる)
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サイとサクラちゃんは兄妹になってほしい(笑)
そして、サスケ君に嫉妬してほしかっただけのお話。