「きゃー!!ご、ご、ご、きゃー!!」
いきなり隣の部屋から悲鳴が聞こえた。
一瞬でそれはサクラの声だということが分かり、急いでサクラのもとへ駆けつけた。
そこで見た光景に俺は言葉を失った。
そこにはゴキブリが動き回っていて、サクラは腰を抜かして涙を流していた。
「ご、ご、ご、」とはゴキブリと言いたくてもとても口には表せずに精一杯出た言葉だったのだろう。
「サクラ…」
「さ、サスケ君!!ご、ご、ご、助けて!!お願い!!」
涙で目がうるうるになっていて、しかも無意識の上目使いでお願いをされてしまった。
瞬間、柄にもなくドキッとしてしまったことは秘密にしておこう。
これは嫌でもヤツ(ゴキブリ)を退治するしかないだろう。
「…分かった。始末してやる。待ってろ」
「うん…!早くね?すぐだよ?」
「分かったから」
子供のようにグズッているサクラは正直可愛かった。
涙目で俺がゴキブリを始末するのを今か今かと待っている。
本気で嫌なのだろう。
この部屋から3メートル内に立ち入ろうとしない。
俺は口もとが緩むのを必死で抑えながらサクラの大嫌いなヤツの始末にかかった。
「…終わった?」
「ああ」
「…もう、いない?」
「ああ、いないよ」
もうこの部屋にいないと念入りに確認したら、ぱあっと顔を輝かせて俺のもとへ寄ってきた。
「ありがとう!サスケ君!」
「うっ…///あ、ああ」
「?どうしたの、サスケ君」
「…なんでもない」
どうしたの、じゃねぇ。
サクラが悪いんだ。
可愛い顔して、可愛い笑顔で、ありがとうなんて言うから。
「お前…他の男の前でその顔禁止」
「え?なんで?」
「なんでも、だ」
分かれよ。無意識っていうのはいちばん怖い。
いつしてくるか分からないからだ。俺は一生、サクラには敵わないかもしれない。
ドキドキのありがとう
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