恋する動詞111題 | ナノ


サスケ君が木の葉に戻って来てくれた。復讐という鎖から逃れ、サスケ君は帰ってきてくれた。今まで通り私たちはまた仲間として一緒にいられる。もうそれだけで十分。私は医療忍者としてサスケ君を影から見守っていることに決めた。だってそれが私にとってもサスケ君にとっても適切な答えだと判断したから。
それからサスケ君は上忍として任務に復帰することになった。そんなある日、長期任務から帰ってきたサスケ君は体中傷だらけで立っているのがやっとの状態だった。私はすぐさま治療をと病院へ連れてきて手当てをした。幸い処置が早かったため深い傷が残らずに済んだ。ベッドに横になっているサスケ君は切なそうな瞳で天井を見上げていた。


「じゃ、じゃあサスケ君。私もうそろそろ行くね。お大事に」


そう言って病室を出ようとしたとき、何かが私の腕を掴んで動きを止められた。私を引き止めたのがサスケ君の手だったってことはすぐ分かった。


「…もう、行くのか」
「え、ええ。傷の手当てはもう済んだもの」


なぜそんなに悲しそうな顔をしているのか私には分からない。そもそも私はサスケ君のそこまで寂しそうな悲しそうな表情は今まで一度も見たことがない。サスケ君は今だに私の腕を掴んだまま離そうとはしなかった。どうしてこんなことをするのかも分からなかった。サスケ君の心が分からなかった。急に冷たくしたり優しくしたり困惑させられるばかり。


「…サクラ」


悪かった、好きだ。そう私の腕を離さずに私を見つめたまま、サスケ君はそう言った。同時にどこにも行かないでくれ、そう言った。そのとき私の心のもやもやは霧が晴れたようにすっきりした。10年間この言葉を待ち望んでいた。ずっと聞きたかった言葉。今やっと聞けた。ああ、やっぱり私にはサスケ君しかいないんだわ。私が生きている限りサスケ君の幸せを一心に願う。サスケ君が私を想っていてくれる限り、サスケ君が私の傍にいてくれる限り、私は私らしくサスケ君を好きでいれる。


(あわよくば、このまま永遠にサスケ君と一緒にいられますように)
(あわよくば、このまま永遠にサクラと一緒にいられますように)


愛し合う二人は同じ願いを繰り返し祈った。



願う

title by 確かに恋だった様



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