恋する動詞111題 | ナノ


リョーマ君が日本を離れて一年が経とうとしていた。時間の流れというのは遅いようで意外と早い。テレビに映るリョーマ君は前よりもカッコ良くなって身長も伸びていて私と頭一個分くらいの差はあるだろう。いろいろな大会に出ては華々しい記録を残している。それに比べて私は何も変わっていない。きっと今でもリョーマ君のことが好きで、テニスが下手で、髪もうんと長いまま。何一つ変わっていない。そんな人がリョーマ君を追いかけるなんて無理だよね。ましてやリョーマ君の帰る場所になるなんて、夢のまた夢にすぎない。それでも、私はまだリョーマ君を待ち続けている。たぶんこれからもきっと待ち続ける。リョーマ君しか好きになれないから。


プルルルル


「はい、竜崎です」
『もしもし、竜崎?俺だけど…』
「リョ、リョーマ君!?」
『そ、久しぶり。俺さ、近々一回そっち戻ろうと思ってるんだけどね』
「…えっ…?」


突然のリョーマ君からの電話とお知らせは本当に私をびっくりさせた。でもなぜ私にそんなことを言ってくれるのだろう。なんて考えていたらさらに不意打ちで私が泣くほどに嬉しいことをリョーマ君は優しく告げたのだ。


『俺の帰る場所は竜崎のとこしかないんだよね。だからさ、待っててくれない?』


リョーマ君が日本を離れてもうすぐ一年。彼はどんどん変わっていって、私は何一つ変わっていなかった。だけど、この優しい言葉で、優しい声で、これから彼と一緒に変われるのかもしれないという小さな希望を持てた。やっぱり私は一生リョーマ君以外の人を好きになるなんてできないと思う。



焦がれる

title by 確かに恋だった様



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