(今頃サスケ君は何をしているんだろう)


サスケ君が里を抜けて、いつもこんなことばかり考えている。
また「うざい」って言われちゃうって分かっていてもやっぱり追わずにはいられなかったサスケ君の背中。
もう年月が経っているんだもの。きっと、私の倍くらい大きくなっているに決まってる。
身長も、胸も、背中も広いに違いない。
その背中に思いっきりすがりたい、胸に顔を埋めたい、大きな腕で抱かれたいなんて思っている私はやっぱり諦めが悪いと思う。

やっぱり、私、サスケ君のことが好きなんだなぁ。


「サスケ君…」


あなたは今、何をしていますか。
少しでも私のことを思い出してくれていますか。
私のことを覚えていますか。
サスケ君…サスケ君…



―会いたい



きらりと流れ星が落ちた。
それはまさに一瞬の出来事で、流れ星が落ちて10秒くらい経っただろうか、そのとき私は誰かに抱き締められていた。
広い胸に顔を当てていて、大きな腕で力いっぱい抱きしめられていた。
ああ、幸せ。


「…サスケ、君…」
「…サクラ」


クリスマスの晴天の空、その大きな空はサスケ君ごしに見える。
私たちは今何をしているんだろう。どうしてサスケ君はこんなところにいるんだろう。
もしかして、私に会いに来てくれたのかな。
サスケ君に抱き締められていることによって頭の中はぐちゃぐちゃ、胸はドキドキいってるし、今の幸せを噛みしめていたかった。


「…お前に…会いに来た」
「うん」
「…お前に…さよならを言いにきた」
「…うん」


もう涙で前が見えなくて、綺麗な空なんて見えなくて、見えるのは私の流した涙だけで。
サスケ君の声は少しだけ震えていて、私も震えを隠すように短く返事をした。

サスケ君は私が想像した通り、大きくなっていた。
まだ見てないけど、顔もきっとカッコ良くなっているに違いない。
今サスケ君を見れば私はもっとサスケ君のことを好きになってしまう。
本当、諦めが悪い女でごめんね。


「サスケ君、大好きだよ」


晴天の夜更け、サンタさんと流れ星は私にプレゼントを与えてはくれなかった。
そのかわりに私から一番大切なものを奪っていった。
サンタからも流れ星からもサスケ君からも見捨てられた私は、これからどうやって生きていけばいいんだろう。




「…俺もだ」


微かに聞こえたこの言葉は可哀相な私への神様からの贈り物だった。




傷だらけのヴィーナス

皆が私を見捨てても神だけは希望を与えてくださった。


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