人間というのは実に独占欲が強い生き物だ、そうつくづく思い知らされる。とくにオス。
世の中にはオスほど良いメスを誰にも触れられず、汚されず、自分だけのものでいてほしい、なんてバカな考えをするものはいない。
今の俺はバカな男共と同じ。良い女を独占したいという考えを持つ。
俺の隣にいる女は昔同じ班だった「春野サクラ」というやつだ。
そいつがこの頃綺麗になっていく様を見て心臓がうずくようになった。
最初は何なのか分からなかったが、ナルトに言ってみたところ「サスケって、独占欲強かったんだな。ま、見た目からして強そうだけどよ!」などとバカはバカなりにそういうところは鋭いんだな、と思った。


ある日サクラは一人の男に話しかけられていた。
きっと、前にサクラが治療してやった男なんだろうが、その男の態度が妙に気になった。
ああ、なるほど。アイツはサクラに惚れているのか。
そう思ったときに俺は「俺のサクラに気安くしてんじゃねぇよ」この言葉が出そうになって喉のあたりで止めた。
「俺の」ってどういう意味だよ。サクラは俺の大事な人であってものではない。だけど、このときサクラには「俺だけのものであってほしい」と思った。
つまりは、そういうことだ。俺は独占欲が強い。そんでもってサクラを溺愛している。


「サクラ、もし俺がお前に俺のものになれって言ったらどうする?」


こんなつまらない質問をしたことに急に恥ずかしくなった。
こんなことを言ってそのあとどうするつもりなんだ。「私はものじゃないわ!」なんて言われて怒ったらどうする。これは最もな答えだ。
それとも「サスケ君ってそんなこと言う人だったの?」なんて言われて愛想尽かされたり。
ああ、悪夢だ。


しかし、サクラの反応は意外にも違っていた。ほんのり頬を赤らめ、にっこりと笑みを浮かべて俺を見ていた。


「嬉しいわサスケ君。でも私は前からサスケ君のものよ?今さらどうしてそんなこと言うの?別に改めてサスケ君のものになるのも私はかまわないけど」


正直拍子抜けした。まさかこんな返答が返ってくるとは思わなかった。
なんで「嬉しい」なんてことが言えるのだろう。独占されて何が嬉しいのだろう。いろいろな疑問が頭の中に浮かんだが、今はそれどころではなくて。
とりあえずサクラを抱きしめた。鳥籠の中に閉じ込める、なんてどこかの昔話みたいなことはしたくなかったし、いつでもサクラは自由に羽ばたいていてほしかった。
しかし、俺からは離れていってほしくなかった。なんて、矛盾している。


でももし、サクラが俺に独占されたいなんてことを望んでいるとしたら答えはひとつしかない。



メスもオスと同じ、バカでしょうもない生き物だった。




ピンクベリーで染まる

サクラの言葉があまりにも可愛くて俺のこの腕から離したくなくなった。
サクラには案外籠の中の鳥は合っているかもしれない。


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