今日はサスケ君が長期任務から帰ってくる日。
一か月という長い任務は私の心を寂しさでいっぱいにした。
もちろん私も仕事があったわけだから、ずっと一人でいたわけではないけど、家に帰ってきたときはやっぱり悲しくて、寂しくて。
たまに、いのが察してくれて一緒にいてくれたこともあるけど、いのにはシカマルがいるから我が儘は言わないようにした。
ナルトも一緒にいてあげるって言ってくれたけど、気持ちだけもらっておいた。


「さーて、何しようかなー」


前よりかは料理ができるようになった私はサスケ君の好きなものをたくさん作ってあげたいと昼ごろから支度を始めることにした。
サスケ君は何を作っても、どんなに不味くても、必ず一口も残さず食べてくれた。
だからもっと、もっと上手くなろうって気持ちが強く心に浮き出た。
いつか、本当にサスケ君にお嫁さんになって、サスケ君の好きなものを作って、サスケ君は美味しいって言って笑ってくれるの。
そんな光景を夢に見てる。私っていつの間にこんなに欲張りになったんだろう。
今のままで十分過ぎるほど幸せなのに。


「サスケ君…早く帰って来ないかな」


サスケ君が帰って来たらまずは「おかえりなさい」って言って、抱きついて、それから、それから…「大好き」って言おう。


「サスケ…くん…」




はっ、と目を覚ましたときはもうすでに夜の8時をさしていた。


「嘘…私…もしかして、眠っちゃったの?」
「サクラ、起きたのか?」
「…え?」


奥からよく知っている声、とても心地良い声、そう、サスケ君の声が聞こえた。


「さ、サスケ君!?ご、ごめんなさいっ!私、寝ちゃって…「サクラ」


落ちつけ、そう言っているようにも聞こえた私の名を呼ぶ声。
顔をあげると、サスケ君は優しく笑っていた。あ、怒ってないんだ。その笑顔を見ただけで分かることだった。


「ごめんなさい、サスケ君…。私…」
「いいんだよ、俺はお前がいれば、それでいい」
「…うん。ありがとう。今ご飯の用意するね」


サスケ君ってば、嬉しいことばっかり言ってくれる。
知ってた?サスケ君。私、サスケ君のその言葉に、仕草に、いつもドキドキさせられてるんだよ。
サスケ君は私の心臓を高鳴らせる天才なんだよ。知ってた?


「サクラ…」


台所に立つ私を後ろから抱き締める形になって、言った。
こういう瞬間が実はとても好き。だって、後ろから抱き締められるって、守られてるみたいで素敵じゃない。
それに、サスケ君ってとても温かい。とくに冬にはすごく体が温まる。


「サスケ君…大好き」
「…知ってる」


サスケ君の正面を向き、抱きついて、もう一度「大好き」って言った。サスケ君は小さく俺も、と呟いてサスケ君は私の肩に顔を埋めた。
サスケ君の体温がさっきよりも熱くなったのは、私の気のせいじゃないよね。




ラブリー婦人の憂鬱な日
(願わくば、ずっとこのままでいさせて)


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2012年「ハロウィン企画」
ホカロンさん、リクエストありがとうございました。

甘い…ですか?

とりあえず、サクラちゃん目線で、サスケ君のことが大好きだよ!ってことがほんわか伝われば良いな、と思いながら書きました。
この度はハロウィン企画参加ありがとうございました!これからも、当サイトをよろしくお願い致します。


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