「ん?な、何やってんだー!?」


仕事から帰ってギルドに戻った。外からでも聞こえる仲間たちが騒いでいる声。
これはあの炎野郎に違いない。エルザの声も聞こえる。またやってんのかと思いながら扉を開けた。
ギルドの中はいつもとは変わらない…と思っていたが仲間皆が群がっている。
何だと思って俺も加わって中心部分を見てみる。

そこに見える光景に俺は絶句した。


「て、てめー!!なに人の女に手ぇ出してんだよ!!」


ナツがルーシィと抱きあっている現場を目撃した。
しかもルーシィもまんざらではないようで…というかルーシィの様子がおかしい。
ナツ相手に頬を赤らめているし、ぴったりとくっついて離れない。
も、もしかして、ナツに乗り換えた…とか。この言葉が頭に浮かんだ瞬間自分の顔が青ざめていくのが分かった。
ああ、やべぇ。恐ろしいことは考えないようにしよう。
と、とにかく、なぜこんなことになっているのか詳しく説明してもらうことにした。


「…はぁぁ!?ルーシィに酒飲ましただとぉ!?」


どこのどいつだ、なんて聞かなくても犯人はすぐに分かる。
すぐ傍のカウンターでヒラヒラと手を振っている女が一人、カナだ。


「…とりあえずクソ炎。ルーシィから離れろ。今すぐだ。凍らされてぇのか」


今のグレイの表情は言葉では表されないほど恐ろしかった。
あのエルザやマスターやナツでも今のグレイには敵わないだろう。
なんとなく今のグレイに対抗してはいけない、そう思わせるような空気がグレイの周りに漂っていた。
この時周りの者は皆同じことを思ったに違いない。

((グレイってこんなに怖かったのか…!?これから怒らせるのはやめよう…))

グレイは大人しくルーシィから離れたナツを一睨みすると、真っすぐルーシィの方へ向かった。


「ルーシィ、帰るぞ」
「…ん?あ…グレイー!!!!」
「おわっ!」


ルーシィはグレイの方を見ると、とたんに目が大きく見開いて、先ほどより遥に目が輝いていた。
そして、勢いよくグレイに抱きついた。
グレイは後ろに倒れそうになったが、なんとか持ち越し、最初は驚いていたがルーシィを力いっぱい抱き締め返した。


「グレイー!大好きー!!!」


か、か、可愛すぎるだろー!!ていうか、ルーシィが可愛いのは当たり前だが、り、理性が…持たねぇ。
グレイは必至にルーシィを落ち着かせるよう、努力した。
しかしルーシィはグレイを大好きと言ってきかず、首に巻き付けた腕を離さない。
しかも、とどめのルーシィからの愛のキスはグレイの細い理性の糸を切るのには十分で。


「ん…ふぁ…ぁ…」


勢いよくルーシィの唇に己の唇を重ねた。
皆が見ているが、今はそれは関係ない。今、俺はルーシィのことしか頭にねぇんだよ。
どんどん深くなっていくキス。10分くらい経っただろうか。やっと唇を離せば、ルーシィは俺の胸へ倒れ込んだ。


「…んぅ…ぐ…れい…」


本当に可愛いお姫様だよ。
俺はルーシィを横抱きにし、ナツの方を見て勝ち誇ったように笑った。


「ルーシィ、続きはあとでな」


そう言って、そのままギルドをあとにし、ルーシィの家ではなく自分の家へ向かった。
間違いだとはいえ、ルーシィがナツに抱きついてるとこなんか見せられちゃ腹の虫がおさまらねぇ。
とりあえず、ルーシィにはお仕置きが必要だな。
お仕置きは何にしようか、考えるのが楽しみだった。
とりあえず、ぐっすり眠っている愛しい愛しいお姫様にもう一度今度は優しく、唇を重ねた。




ストロベリータイムは姫が目覚めた後で

や、やべぇ。起きるまで我慢できねぇ。でも、寝込み襲うなんて男じゃねぇ!!
ルーシィ!早く起きろ!!!頼むから起きてくれ!!


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