あー疲れた。今日は本当にすごい1日だった。
ナツとグレイとエルザが3人がかりでやっとのことで退治できた獲物だった。もちろん報酬は目が思わずお金に変わってしまうほどのものだったが、やはり疲れが尋常ではない。

ギルドから50キロ行ったところの小さな町。そこが依頼人が住む場所だったが、その近くの山に住む主、大きな山犬を退治してほしいとの依頼だった。
最強チームは早速山を登り始め、主を探した。しかしその山は見た目とは打って変わって恐ろしいほど険しかった。
登るだけで疲れたのだ、大山犬を退治するのも大変だったし、降りるのも体力を使った。

そんなわけで今は午後11時。せっかく年に一度のクリスマスもあと一時間で過ぎようとしている。
小さくため息をついた。
確かに恋人はいなかったが、しかしクリスマスを仕事だけで終わらせてしまうのも心残りだった。


「時間があんだったらさ、ちょっと歩かねぇか?」


それがグレイからの突然の言葉で、あたしは素直にその言葉に応じることにした。


「うわー、綺麗!」


街の通りをぶらぶらとしてたところ、広場までたどり着くと大きなクリスマスツリーがあった。
それは見事なまでに赤、青、緑、黄色、色とりどりにライトアップされていて今日一日の疲れが一気に吹き飛んでしまうくらい綺麗だった
あたしはたぶん長い時間うっとりと眺めていたと思う。
隣にいたグレイもその美しさに見とれて大きなクリスマスツリーを見上げていた…と思っていた。


「ちょっ、何見てんの?」
「ルーシィのこと見てんの」


グレイはその整った顔で真剣にあたしの名前を口にした。
その声、姿にドキドキしない女の子なんてこの世に存在するのかしら。


「な、なんで?」
「そりゃ、ルーシィが綺麗だったからに決まってんだろ」


無意識なのか確信犯なのかよく分からないけど、グレイの真剣な顔を見ていると何だか心からそう言ってくれているようで、期待してしまう。
でもダメ。だって、あたしにとってグレイは大切な仲間で友人でお兄さん的存在。
それがいきなり恋人同士になるなんて、考え付かない。今まで仲間だった人がいきなり恋人同士になるってどんな気持ちなのかな。
お願い、グレイ。変な期待させないで。グレイ大好き。本当に好きよ。


「ほら、来いよ」


差し出された手は温かく、それでいてあたしを何の違和感もなく受け入れてくれた気がした。
繋いで手はいつもより優しく、あたしの中からグレイを好きな気持ちが溢れ出てきた。


「…うん」


周りは皆ラブラブのカップルが多い中、指を絡めながら寄り添ってツリーを見上げていたあたし達はきっと恋人同士に見えたと思う。




小さな箱の中身は愛だった
(ダイヤモンドよりも素敵なプレゼントが入っていた)


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