「リョーマ君!トリック オア トリート!」
「…え?」


今日は10月31日いわゆるHalloweenというイベントの日。
誰もが仮装して他人の家のインターフォンを鳴らせば籠いっぱいのお菓子を持って出迎えてくれる、甘いものが大好きな人にはたまらない行事だ。
しかし俺は甘いものはどちらかと言えば苦手でこういうイベントには今まで参加したことがなかった。
だけどととりあえず、いつ誰が来てもいいようにお菓子だけは用意してある。
そして今回もピンポーンと鳴ったので俺はお菓子が入った籠を持って玄関へ向かい、ドアを開けた。

するとそこには竜崎が立っていた。
杏、ただそれだけだったら俺はあそこまで間抜けな声を出す必要はなかっただろう。
問題は竜崎の格好だった。
頭から生えているのは間違いなく猫の耳だろう。そして黒とピンク色をしたワンピースでスカートは膝上と学校の制服よりも短い。長い髪も今日はおろしていてふわふわとウェーブがかかっている。


(これは…そそる!)


今にも鼻血が出て倒れそうなほど竜崎の格好はセクシーで色っぽかった。
しかし同時に今までずっとこの格好で外に出ていたということに実に腹立たしかった。
つまりは竜崎のこの姿を見た奴は俺以外にもいるということだ。こんな色っぽくてセクシーな竜崎の姿を見て何も思わない奴はまずいない。
そしてこのまま竜崎を外にウロウロさせておくのは心配極まりない、尚且つ


(このまま竜崎の猫娘姿を逃してしまうのはおしすぎる…!)


「竜崎、その格好どうしたの?」
「あ…えっと…朋ちゃんが着せてくれて…。えと、似合わなかったかな…?」


あーもうダメだ。これ以上自分を抑えられる自信はない。
どうしてこんなに可愛いの。本人には絶対言えないけど。こんな竜崎が可愛くないわけないし。


「似合ってるよ。それよりさ今、家親いないんだけど」
「…へ?」
「だからさ」


せっかくだから家入らない?お茶でも飲んでゆっくりしようよ、そしていろいろしようよ。
耳元でささやけば竜崎は真っ赤になって俺を見上げてきた。
だから、その顔ヤバいんだってば。
セクシーな格好して、真っ赤な顔して、目をうるつかせて、上目使いで、そんなんで俺を見たら襲っちゃうよ?


「竜崎はお菓子なんかよりも俺のイタズラの方が好きなんだよね」


俺は竜崎の腰に手を添えて竜崎が大好きなお菓子を口に含ますと家の中へ招きいれた。








あとがき
2012年「ハロウィン企画」
レナさん、リクエストありがとうございました!

ヘタレ…になっていますか?
私もヘタレリョーマは大好きで結構得意…だとは思うのですが、今回はできるだけカッコイイリョーマを崩さずにヘタレ君にしてみました。
猫娘桜乃ちゃん萌えますよね!でも魔女っ子も良いかも…!
気に入っていただけると嬉しいです。ありがとうございました!



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