「んっ、ん…赤、也さん…」


 密室状態の部屋に男と女が二人きり。先ほどからお互いの名前を呼び合って、抱き合って、唇を重ねての繰り返し。少女はその一つ一つの動作にピクリと身体を反応させる。少年はそんな少女の反応を面白がってはニヤリと口角を上げ、もっと、というような少女の真っ赤な唇に吸い付いた。


「赤也さんっ、わ、私…もう…」
「大丈夫、俺と気持ちいいことしようぜ?」


 で、でも…と遠慮気味に言う桜乃とは裏腹に赤也の場合は一向に桜乃を離そうとしない。


「桜乃顔真っ赤。すげー可愛い」
「んもうっ///赤也さんったら///」


 本当、桜乃は可愛い。真っ赤になった桜乃はもっと可愛い。俺に惚れてる桜乃はもっともっと可愛い。桜乃が可愛いってことを誰かに自慢したい、見せつけてやりたい、だけど心のどこかでは俺だけのものにしたいって気持ちもある。俺ってこんなに独占欲強かったっけか。ああ、そうか。桜乃相手だけは独占欲が世界一強くてこの地球上の誰よりもヤキモチ妬きだって先輩が言ってたっけ。あながち間違ってはない。ていうか、すべて当たっている気がする。


「桜乃可愛い、世界で一番可愛い、誰よりも可愛い」
「あ、赤也さん///可愛いばかり言わないでください!///」
「なんで?本当のことじゃん」
「で、でも…っ!///」


 大丈夫。桜乃のことは俺が大切にするから。可愛い桜乃を俺が守るから。だから今は恋人気分を存分に味わおうぜ。ずっとイチャイチャしてたらそのうち恥ずかしくなくなるって。


「いつか結婚しような、桜乃」


 桜乃の大きな瞳はさらに大きくなって、丸かった瞳がさらにまんまるくなって、そしてその瞳から涙がこぼれてきた。桜乃を泣かせる奴は誰であろうが絶対に許さねぇ。だけど、今だけは俺のために泣いてくれている桜乃の涙が大好きになった。










あとがき
2012年「ハロウィン企画」
葵さん、リクエストありがとうございました!

まずは第一作目切桜でございます!
赤也は常に桜乃ちゃんのこと可愛いって言ってそう。そして、いつもギューってしていたいくらい好きなんだと思います!
赤也君と桜乃ちゃんのイチャイチャは見ていてとても和みますよね。
気に入っていただけると嬉しいです。もう一つの幸桜も気長にお待ちくださいませ。
それでは、ありがとうございました!



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