今日こそ愛する彼女に告白!
そんな計画を密かに立てていた少年、桃城武。
裏庭に呼び出して二人っきりになって一気に「好きです、付き合ってください!」というのが一般の告白の仕方。
しかし、桃城が好意を寄せている女の子は最強の天然で、そんな言い方は全く通用しない。
このセリフを言えば「え、えっと…どこにですか?」なんて返事が返ってくる。
こんなことを言われてしまえば、告白した側はがっくりと肩を落とすのがオチ。
しかもノリが良く、いつもからかったり冗談ばかり言っている桃城では尚更だろう。

ではどうするか、悩んで悩んで考えた。
とりあえず恋についての話をしてみる。


「桜乃ちゃん。恋って何だか分かるか?」
「え?恋…ですか?」


うーん…と手を口元にあてて考え込んでいる彼女、一つ年下の竜崎桜乃。
この子が俺の好きな子。
桜乃は可愛くて、可愛くて、可愛くて、ものすごく可愛い。
しかも努力家で作った料理はすげー美味いし。
俺の理想ぴったし。


「恋というのは…人を好きになること…でしょうか…?」
「正解!んじゃあ桜乃ちゃんって恋したことあるか?」
「え、えっと…人を好きになったことは…あります///」
「えっ」


ま、まぁ。そりゃ、女の子だから恋愛の一つや二つしてるよな。
でも一体誰なんだ…?
もしかして越前だったり。越前はかなりの人気者で1年では一番モテてる。
あー…桜乃ちゃんも越前のことが好きなのか…?


「も、もしかして…越前?」
「ふぇ?リョ、リョーマ君!?どうして…ですか?」
「いや…あいつモテてるし、よく桜乃ちゃんと一緒にいるからもしかしたらその…好きなのかな、なんて」
「ち、違いますよぅ///リョ、リョーマ君はそんなんじゃなです///」
「え?違うの?」
「はい!確かに尊敬してるし、とってもカッコイイけれど、私には…」
「他に…好きな人がいるのか…?」
「…はい///」


越前じゃないのか…。
って、ホッとしすぎだろ俺!越前じゃなくても桜乃ちゃんには好きな奴がいんだぞ!
一体誰だ!?越前じゃなきゃあとは…不二先輩とか!あ、でも菊丸先輩もありえる…海堂は…ありえないよな?


「桜乃ちゃんの好きな奴って誰だ…?」
「えっ!?えっと…///」


あ、やべ。声に出てたのか。
この際もう思いきって聞いちまおうか。その方が早いよな。
ででででも…もし…違う男の名前呼ばれたら…どうしよう。


「桃先輩…です…///」
「へ?」


頭を抱えて悩んでいたら、いきなり可愛い声で俺の名前を言われた。
一瞬思考が止まった。何のことなのか、考えるのに少し時間がかかった。
今は恋愛話をしていたんだよな。それで桜乃ちゃんの好きな人の話しになって…。
え!?桜乃ちゃんの好きな人ってもしかして俺!?
そ、そんなわけねーよな、そんなわけねーよ。


「わ、私のす、好きな人は…桃先輩、です…」
「え?ま、まじで!?」
「は、はい…」
「よ、よ、よっしゃー!!!」
「きゃっ」


俺は思いっきり桜乃ちゃん…いや、桜乃を抱きしめた。
今日から俺の恋人。俺の桜乃。
桜乃はいきなりのことに驚いてきっと今すごく顔が真っ赤に違いない。
身体の熱が伝わってくる。


「俺も大好きだぜ、桜乃!」
「え、え、え///う、うそ…」
「もちろん、俺の彼女になってくれるよな桜乃?」
「…もちろんです///」



back


- ナノ -