アイツはいつもそうだ。
誰にでも平等にきらきら光るその笑顔を振りまく。
平等というのは大切なことだが、なにも俺以外の奴に振りまいてやることはない。
他の野郎どもが桜乃に惚れちまったらどうするんだ。


「桜乃」
「どうしたんですか?赤也さん」


俺はただ真っすぐに桜乃の方へ向かって行って、腕を掴んで自分の方へ引き寄せた。
ポスッという音とともに桜乃の身体は俺の胸へと預けられた。
俺の胸に顔を埋めているという状態の桜乃。
その状態が恥ずかしいのかすぐに離れようとする桜乃を俺は力を込めて強く抱き締めた。


「アンタは俺だけを好きでいてよ」


これが今の俺の本当の気持ち。
もし拒否られたらなんて後ろ向きな考えはしないようにしよう。
ただ一心に桜乃が俺と同じ気持ちでありますようにと願った。
微かだったが、胸に埋められている桜乃の頭が縦に揺れたような気がした。


(俺には隙見せてくれた方がありがたいけどな)


END.


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