![]() | 「ん、」 ふわふわとした感覚を覚えて、私は目をあける。 (あ、ここは……!そうだそうだそうだそうだそうだ!!私を愛してくれたあの人がいるところ!!きっと助けてくれたのね!!) 私は首を回して、あの人を探す。 「……ぁ、」 「ふふ、久しぶりだね。」 「は、い。」 「ずいぶん窶れているようだけれど、」 「ぁ、あの!私のこと、助けてくれ、」 「やっぱり君はつまらない人間だったね。」 「え…?」 いつものように美しい笑顔を携えたまま吐かれた言葉が理解できない。 「あーぁ、やっぱりだめだね、適当に選んじゃ。玩具はちゃんと選ばなきゃね。」 「な、にを、…言って、」 美しいはずのそれはもう私の恐怖しか煽らない。頭の中が混乱してわけがわからないけど、1つだけ、分かる。 「あぁ、でも絶望に歪むその顔は、素敵。」 この人は私なんか、愛していなかった。 「や、だ…なんで?どうして?私はただ、」 彼らに愛されたかっただけなのに。 「なんで?やっぱり君は随分面白いことを言うね。人に愛されるなんて、そんな簡単なものじゃない。けど、君はなんの対価も払わずにそれを願ったんだ。それなりの覚悟はして当然でしょう?」 「だって、なんでも叶えてくれるってっ!初めに言われたっ!!」 「だから君はつまらないんだよ。等価交換、基本でしょう?」 「っこんなの詐欺よ!!」 「まぁ、今さらどんなに喚いたってちゃんと対価は頂くね。―――…あぁ、君って随分嫌われてたみたいだね。」 「!??」 「特に女の子たちからは、あはは、“臭い汚物”だって。」 「な!やめ…っ!」 「君の好きな王子様からは、“邪魔者”“ミーハー”“さっさと居なくなればいい”。これまた随分、だね。」 「う、そ…うそ、嘘よ!!そんなはずない!!」 聞きたくないことばかりで私はわめき散らす。だって私がお姫様なのよ!?そんなはずない!そんなはずないのよ…! 「あ、そうそう。君の1番だぁいすきな彼はね」 「や、めて、やめてやめてやめてやめてやめて!」 聞きたく、ない!! 「ふふ、“死ねばいい”だって。」 「ぁ、や、あああああああああぁ!」 「じゃあ、対価として君のその夢を、全てもらっていくね。」 ―――…あぁ、なんて、うつしい、 だろうか。 back::next |