04
「これはおかしいことだよね?貴女の存在自体がないんだよ。」
「あ、ちが、そんなのなにかの間違いよ…っ」
「先生もようやくおかしいということに気づいたのか、もう一度調べ直している。しかしそもそもそれは、転入手続きの際にするべきことだ。」

柳の鋭い眼差しが私へと向けられる。ううん、柳だけじゃない。ファンクラブの女も、幸村も、私を見る目は、鋭い。

「ねぇ、貴女はどうやってこの学校に潜り込んだの?」
「も、ぐりこんでな、て、ないっ」

口がからからに渇く。あぁもうどうすればいいの?漸く私の逆ハーが始まるんじゃなかったの?

焦りや恐怖で正常な思考もままならない私の耳に、はぁ、と、まるで面倒くさいとでも言うような溜め息が届いた。柳だ。

「…ならばもっとはっきりと聞こう。」

ばくばくと心臓が嫌な予感を告げる。

「お前の、」

嫌だ嫌だ嫌だ、聞きたくない、聞きたくないのに、

「花井美羽の、」

鮮明に私の脳へと、響く。

「戸籍はどこだ?」
「うぁ…、」

私に向けられているのは訝しげで、不審げで、怪しんでいて、侮蔑を含んでいる、―――嫌悪の、視線。


「あ、ぁ。あぁああああ!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!私にこんな目を向ける奴等なんていらない!こんな感情を抱かせる学校なんか欲しくない!!こんな世界、私の望んだ世界じゃない!!!!」

パンッとどこかで音がして私は目の前が真っ暗になるのを感じた。

















「は…?」
「消え、た…?」
「………。」
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