04

「くそ…っ!」

今日、部活の先輩にまた呼び出された。いつもの妬みからくる悪口だったが、今回は俺が相手にしていない事が分かったのか蹴られた、しかも部長たちにバレないようにか服で見えない部分を。

(あー、んで俺がこんな目に…ってまぁ2年でレギュラーはってっからか…。)

何故か落ちている気分に、いくら部長たちのように尊敬はしていないとはいえ先輩からの暴言が思いのほか効いていることに気づいた。

(それに…、ところどころ正しいんじゃねーかってとこも、あったし…)

沈んでいる気分をごまかすように保健室へ入ると、長い綺麗な黒髪の女がいた。もしかしてファンじゃねぇかと思いつい攻撃的になってしまう。

けれど、女はそんな俺に嫌な顔1つせず俺の話を聞いてくれた。その上、俺の努力を認めてくれた、俺の欲しかった言葉をくれた。俺を、俺自身を、見てくれたんだ。


ダサくも泣いてしまった俺の傍に優しく佇み、心の闇を軽くしてくれた先輩に、俺の中にはさっきとった態度への罪悪感がふつふつと沸き上がってきた。

それでも、謝罪と感謝を伝えると自分は寝てただけだからと俺を気遣うように優しく全てを許してくれた。

(、ヤバい久しぶりにキたかもしんねぇ…)

最後に見せた笑みと俺への言葉、あまりにもかっこよすぎる小夜先輩のあのふるまい。

俺の中でも何かが色づき始めた、そんな気がした。
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