溺れる人魚
「小夜ちゃん、ごめんなさい!」

朝、学校に着くと申し訳なさそうなくーちゃんに謝られた。

「どうしたの?とりあえず頭あげてよ」

「ううん、私のところの子達が迷惑かけたでしょ?本当にごめんっ」

「あぁ、そのこと?気にしてないよ。寧ろ友達にこんなことさせてる方が悲しいんだけどな?」

私がそう言うと、くーちゃんはたっぷり間を置いてから渋々顔を上げた。

「小夜ちゃん、ずるい。そんなこと言われたら頭あげるしかないじゃん。」

それでも拗ねたようにそう言う彼女の顔には罪悪感が滲み出ている。やっぱり彼女は会長を務めるだけあって責任感が強い。

「でも、怪我とかしてない?何処か痛くない?」

「少し擦りむいたぐらいだよ。大丈夫。」

不安そうにおろおろする彼女を安心させるような声音でそう告げる。


「くーちゃんのせいじゃないから気にしないで?そんなことまで責任負っちゃうと、くーちゃんが疲れちゃうでしょう?」

そしてそんな彼女に漬け込むように優しい言葉を吐き出す私は、悪い女なんだろうか。

「くーちゃんが疲れちゃうぐらいなら、私はどんどん迷惑かけて欲しいよ。」

「っ小夜ちゃん…!」

ぎゅう、っと抱き着いてきた彼女を受け止め、優しく頭を撫でる。
でも、こんなことをするために彼女を慰めたんじゃないんだよ。

「ね、くーちゃん。」

だから、ちゃあんと教えてね?


























「どうして、ファンクラブの女の子達が私を呼び出したって知ってるの?」

まぁ、彼女が私を裏切るだなんて思ってはいないけど、人間なんて結局は信用ならない生き物でしょう?
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