![]() | 「貴方が夢月さんね?少し宜しいかしら。」 放課後、帰ろうとしていると女の子に声を掛けられた。この子は確か――… 「うん、いいよ。」 「では着いて来てくださらないかしら。」 彼女はそう言うとすたすたと歩きだしたので、私は後を追った。 彼女に着いて行くと、辿り着いたのは屋上だった。数人の女の子もいる。 「単刀直入に申しますわ。夢月さん、レギュラーの皆様の邪魔はやめてくださらないかしら。」 彼女たちが全員私に向き合うようにして立っている。その上睨まれてたりもする。 「……。」 「花井さんが貴方がレギュラーの皆様をタブらかしている、と泣きついてきましたの。」 「………。」 「レギュラーの皆様だけでなく花井さんも迷惑していらっしゃいますし、金輪際レギュラーと花井さんに近寄らないでいただけますこと?」 これはお願いではなく警告ですわ。 そこまで言って彼女たちはさって言った。 「ふっふふふふ、少しは頭を使ったようだね。自分を嫌ってたファンクラブの過激派を味方につける、なんて面白いことするね。」 彼女たちが去ったあと、私は堪えていた笑みを漏らした。 「どうやって味方につけたのかなぁ、気になるなぁ、ふふふ。」 昨日まではつまらないと思っていたが、撤回しよう。 面白くなってきた。 もちろん私はその後もテニス部レギュラー、もちろん花井さん心酔組は除くけれど、と今まで通り交流を続けた。 まあ、そんなことをすれば勿論 『今日の放課後、屋上に来なさい。』 呼び出しをくらうわけだけど。 |