01
真っ白な部屋、否強烈な白のせいで部屋かどうかすら曖昧な、そんな空間。

そんな中で唯一はっきりと存在を表している少女と幼い男の子。

「あのコ、不思議だね。」

男の子が独り言のように呟く。

「不思議?」

それに口元に微笑を称えた少女が問いかける。

「不思議なぐらい、脆弱だよ。自分の欲望の為なら何でも出来た癖に、いざとなると壊れちゃったじゃん!」

無邪気に男の子が言葉を放つ。

「脆弱、ねぇ…。ふふ、よく見てるね。でもそんなもんなんだよ。彼女たちはね。」

「彼女、たち?」

少女の不可解な言い回しに男の子が頭に?を飛ばす。そんな男の子をくすりと笑い、彼女は続けた。

「そう、彼女たち。」

「僕はあのコのことを言ったんだよ?」

「分かってるよ。でもこの場合、いや、私たちからの視点の場合からは彼女たち、が正解なんだよ。」

少女のはっきりとしない言い回しに男の子の頭上の?が増える。

「?よく分かんないよ。」

「分からない?じゃあそれはまだ×××としてはダメってことだね。」

「えぇ?!大丈夫だもん!一人前だもん!」

「焦らなくてもまだまだ先は長いんだから、ゆっくり理解していけばいいんだよ。」

「むぅ…。」

むくれてしまった男の子の頭を少女が優しく撫でた。

「ほら、むくれないの。
さ、おいで。もうアフタヌーンティーの時間だ。今日はスコーンでも食べようか。」

「スコーン!食べる!添えるのは生クリームより木苺のジャムがいいな!」

食べ物につられてしまうあたり、やはりまだまだ子供のようだ。

「分かってるよ。ちゃんと準備してある。そうだ。紅茶はダージリンにしようか。ちょうど朝新しいのが届いたんだ。」

少女は男の子の手を引きながらそう男の子に話しかけた。ちらりとどこか遠くを見て、

「―――――?」

ぽつり、そう呟いた。

「?何か言ったー?」

「ん?何も言ってないよ。」

「そう?ま、いいや。早く行こうよ!スコーンスコーン♪」

「そんなに急かさなくてもスコーンは逃げないよ。」

そして少女と男の子は白に溶けた。

「ねぇ、君はどれだけ耐えられるのかな?」

くすり、とどこかで誰かが微笑んだ。
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