![]() | 真っ白な部屋、否強烈な白のせいで部屋かどうかすら曖昧な、そんな空間。 そんな中で唯一はっきりと存在を表している少女と幼い男の子。 「あのコ、不思議だね。」 男の子が独り言のように呟く。 「不思議?」 それに口元に微笑を称えた少女が問いかける。 「不思議なぐらい、脆弱だよ。自分の欲望の為なら何でも出来た癖に、いざとなると壊れちゃったじゃん!」 無邪気に男の子が言葉を放つ。 「脆弱、ねぇ…。ふふ、よく見てるね。でもそんなもんなんだよ。彼女たちはね。」 「彼女、たち?」 少女の不可解な言い回しに男の子が頭に?を飛ばす。そんな男の子をくすりと笑い、彼女は続けた。 「そう、彼女たち。」 「僕はあのコのことを言ったんだよ?」 「分かってるよ。でもこの場合、いや、私たちからの視点の場合からは彼女たち、が正解なんだよ。」 少女のはっきりとしない言い回しに男の子の頭上の?が増える。 「?よく分かんないよ。」 「分からない?じゃあそれはまだ×××としてはダメってことだね。」 「えぇ?!大丈夫だもん!一人前だもん!」 「焦らなくてもまだまだ先は長いんだから、ゆっくり理解していけばいいんだよ。」 「むぅ…。」 むくれてしまった男の子の頭を少女が優しく撫でた。 「ほら、むくれないの。 さ、おいで。もうアフタヌーンティーの時間だ。今日はスコーンでも食べようか。」 「スコーン!食べる!添えるのは生クリームより木苺のジャムがいいな!」 食べ物につられてしまうあたり、やはりまだまだ子供のようだ。 「分かってるよ。ちゃんと準備してある。そうだ。紅茶はダージリンにしようか。ちょうど朝新しいのが届いたんだ。」 少女は男の子の手を引きながらそう男の子に話しかけた。ちらりとどこか遠くを見て、 「―――――?」 ぽつり、そう呟いた。 「?何か言ったー?」 「ん?何も言ってないよ。」 「そう?ま、いいや。早く行こうよ!スコーンスコーン♪」 「そんなに急かさなくてもスコーンは逃げないよ。」 そして少女と男の子は白に溶けた。 「ねぇ、君はどれだけ耐えられるのかな?」 くすり、とどこかで誰かが微笑んだ。 back::next |