02
「なぁなぁ、美羽!よかったら昼飯俺らと食べねぇ?」

「え?!っでも他の人もいるんじゃ…」

「大丈夫だよぃ!皆いいやつだから!」

「じゃ、じゃあ行かせてもらってもいいかな?」

「おっおう!」

自然に見える可愛い上目遣い。端から見れば、可愛い転校生とこれまた可愛い部類に入る丸井の微笑ましい会話だ。まだまだ不安が抜けきらない転校生とそれを気遣う優しい学校のアイドル。でも、気づいてるのかな花井さん?

あなたの目がギラギラしてること。

そんなんじゃ駄目だよ。鋭い幸村やファンクラブの皆に気付かれちゃうよ?
せっかく“こっち”に来たのにそんな様子じゃあすぐHP切れ、蘇生不可能、ゲームオーバー。

(ま、私には関係ないけれどね?
さっ昼寝でもしに行こうかな?)

私は二人のやり取りにくすり、と教室で笑いを落としてから保健室に向かった。


「ゆーちゃん、ベッド貸して?」

「またお前か、小夜…。まぁいいや、俺今からちょっと出てくるからお前番してろ。」

「また一服?少しは我慢も大切だよ?」

「ガキが一丁前に大人諭すんじゃねぇよ。
じゃあ任せたからなー」

くしゃりと私の頭を撫でて保健室を出ていったのはゆーちゃんもとい高城悠哉、先生らしからぬ保険医だ。何故か私は気に入られているらしく彼は結構私に甘い。まぁ煙草吸ってるとこ見られたっていうのもあるのだろうけど。

まぁ何はともあれ私の城だ。のんびりしようじゃな「せんせー、怪我ー。」

「………。」

呪われてるのだろうか。もじゃもじゃが入ってきた。

「……誰だよあんた。」

しかも警戒心丸出しときた。

「しがない保健委員です。ゆー、…先生は今いないので治療はどうぞご自由にー」

愛想笑いをしながら当たり障りのないよう言葉を発した。
もじゃもじゃは私の言葉を理解したのか、自分で治療を始めた。

「…………。」

「…………。」

「…………。」

下手だ。下手すぎる…!何でテーピング(たぶん)するのにこんなぐちゃぐちゃになるんだ。

「…………。」
「……(もう駄目だ…っ)ぶふっ!」

「っんだよっ!」

「ごめ、あまりにも…その、前衛的なテーピング過ぎて、つい。
笑ってしまったお詫びにやらせてくれないかな?」

「(ぜんえーてき?)ど、どうしてもっていうなら……。」

「うん、どうしても。」

「…………ん。」

なんかツンデレっぽいんだが。まぁ素直に足をだしたんで、少し状態をみる。

「ねぇ、これって転んだ、とかじゃないよね?」

「?!んで分かっ…!」

足の状態に違和感を覚え、問いかけてみるとビンゴだったらしい。

「なんかされたの?」

「っ……別に、」

「話せば楽になることもあるよ?幸運なことにここには居眠りしてる私以外誰もいない。何を話したってだーれも知らない。」

「………俺、―……」
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