純愛に溺死
昨日、花井さんが出ていって幸村くんの絶対零度が発動した後、なんとも言えない空気が流れてそのままお開きとなった。

次の日である今日はさすがに勉強会は行われないらしい。ということはつまり、私の安寧の時間が戻ってきた……はずである、が。

「何でうちにいるのかな?君たち。」

口元が限りなくひきつっている気がする、いやもう絶対ひきつってる、間違いない。だってひくひくいってるもん。
しかし、そんな私に気付いているのかいないのか(多分後者だと思われる)幸村くんが声をあげた。

「だって勉強しなきゃテストヤバいんだもん。」

何がヤバいんだもん。だ、幸村。いい年した?男子中学生がもんとか使うな、ちくしょう、違和感ない!そしてもう一度問おう、君そんなキャラだったの?

「あんな奴らと勉強なんてしとおないんじゃよ。」

おい、仁王。ソファーでくつろぐな、ついでにしれっと私にのし掛かるな、重い。あと仮にも仲間をあんな奴らとか言うんじゃありません。せめてオブラートに包みましょう。

「お願いします先輩!幸村部長と仁王先輩はともかく、俺リアルにヤバいんす!」
赤也は……、うん、君はただ成績が悪いだけだよね。いや、知ってたよ?知ってたけど昨日見てて改めて分かった。

何だかどっと疲れたが、ふと私の頭に疑問が浮かぶ。

「というかまず何でうちの場所分かったの?立海の生徒には誰にも教えてないはずだけど。」

まさか後着けたのか、ストーカー諸君。

「小夜の忘れ物届けちゃりたいっちゅーたら担任が教えてくれたナリ。」

「立海の生徒“には”?」

さらりと今日いい天気だね、ぐらいの軽いノリで仁王が答えた。

………担任明日しめる。生徒のプライバシーはどうした、プライバシーは。ゆーちゃんなら絶対にしないぞ、こんなこと!
あと、そんなどうでもいいところに疑問を抱かないでほしいな、幸村くん!面倒なのでスルースキルを存分に発揮させてもらうことにした。


でももううちに押し掛けられたものは仕方ない、今さらだもの、この際諦めるしかない。というより仁王と幸村はしつこそうだし、悲しいかな追い出せる気が微塵もしない。

「はぁ、部屋を勝手にあさらないこと、寝室には入んないこと、煩くしないこと。」

「「「?」」」

「それを守れば勉強場所、提供したげるよ。」

私の一言に3人の顔に喜色が浮かんだ。
何だか選択を間違えた気がしないでもないのはどうしてだろうか。
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