緩やかに瓦解
テニス部での勉強会。チャンスだと思った。あいにく勉強はあまり出来ないから、わざとらしさもでないだろうし、きっと皆優しくしてくれる。仁王だって、“私”を見てくれる。

そう嬉々として言った勉強会なのに、部屋につくとあいつがいた。幸村と仁王が当然のように彼女の隣に座っている。

大嫌いなあいつなのに何故かその光景が至極当然のようで、息が詰まった。

ブン太や真田は私を心配してくれるけど、苛められただなんて嘘なんだから大丈夫に決まってる。本来なら私がいるはずの位置に座るあいつについ視線がいく。

幸村があいつに何か聞いている。何でそんなに幸せそうな顔をしてるの?
あいつが答える。
何で頬を染めて嬉しそうにお礼を言うの?
私はいてもたってもいられなくなり幸村に問題を聞きに言った。
どうして私を見る目はそんなに冷たいの?
今度は仁王が彼女に質問をした。普段の彼からは考えられないような無邪気な笑顔を浮かべている。その笑顔は私だけに見せてくれるはずでしょう?
仁王があいつの頬に手を伸ばす。
何で何で何で何で何で何で何で何で何でなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ!
そんな愛しそうな目で彼女を見つめるの?

息が詰まる。何だか吐きそうだ。頭がぐるぐるして足が地面についているかさえもよく分からない。

今、私の目は何を見てる?今、私はどんな顔をしてる?今、どうなってる?

でも、そんな状態でも私は部屋を飛び出した。頭のどこかで誰かの笑い声が響いた気がした。

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