![]() | 「そこは俺も良く分からなかった。」 「あ、俺も!」 仁王の質問に答えようとすると何故か柳と幸村までついてきた。……こんなおまけいらない。 「……掛詞ってあるでしょ?ここの“うき”っていうのに“憂き”と“浮き”の2つの意味がかかってるんだよ。」 それにしても我が校の問題は尽く難しい気がする。普通中学生にここまでつっこんで聞かないし。 「おお!なら訳せる気がするぜよ!」 「ほう、その可能性を見落としていた。」 「確か先生言ってたね、掛詞がどうちゃら。」 仁王はこの問題に結構苦労していたようで、なんだか普段より高めのテンションで問題に再び取り掛かっていた。残りの2人も問題に向き合う。 何だか高校の授業出てきそうな問題をたった一言ですらすら解き始めるなんて結構努力してるんだなぁと思う。まぁ、可愛げはないけれど。 「どう?大丈夫だった?」 「おん、おうとる!」 「俺もー。」 「俺もだ。やっぱり学年1位は伊達ではないな。」 柳が言う。というか幸村くんってあんなにゆるゆるな感じしてたっけ? 「学年2位に言われても…。あんまり変わんないよ。」 下手したら嫌味のような柳の言葉に私は苦笑いで返した。 「いやいや、やっぱり小夜さんは凄いよ。さっきも説明分かりやすかったし。」 あ、幸村くんがゆるゆるからいつもの雰囲気に戻ってる。にしても誉めてくれなくていいから。いや寧ろ誉めないでくださいお願いします。 「さすが俺の小夜じゃ!」 仁王が私の顔に手を伸ばした。 「誰があんたのだ「ガタンッ」、?」 取り敢えず仁王の言葉を否定しようとすると、後ろで何かが倒れる音がした。 「美羽?」 「美羽さん?」 「ぁ、ごめっ!ちょっと…っ」 花井さんはどこか焦点の合わない目をしたまま部屋から出て行った。 「っ美羽っ!」 「どうしたんだっ?!」 丸井たちが声を荒らげたがそれも聞こえていないようだった。 「っだから俺は反対だと言ったのだ!」 すると突然真田が声を上げた。 「美羽をいじめた夢月と美羽を同じ空間に置き、あまつさえ共に学習するなど!」 「……… は?」 えーと…いじめた?誰が?…私が?誰を?……花井さんを? 「あのー私花井さんに何かしましたか?申し訳ないけど、そんな事実私の脳内検索に全くヒットしないんですケド…。」 「なっ!」 真田が顔を真っ赤にして言葉に詰まる。すると今度は柳生が交代だと言わんばかりに口を開く。 「美羽さんをいじめた上しらばっくれようとするなんて!あなたが昼休みに美羽さんを突飛ばして怪我をさせたのでしょう?!」 「柳生、その件は赤也が小夜さんと一緒にいたんだからあいつが嘘をついてるって言っただろ。」 するとすかさず幸村くんが私を庇うように私の前に出て反論をした。 「っでもそれなら美羽のあの怪我はなんて説明すんだよぃ!まさか自分でやったとでも言うのか?!冗談じゃねぇ!」 「でもあいつには証拠はない。それは紛れもない事実だ。……ねぇ、君たちは赤也が、仲間が信じられないっていうの?」 幸村くんの冷たい視線が3人を貫いた。 |