03
「で、これはどういうことなのかな?」

にっこりと擬音語がつきそうな顔で笑った私の目の前にはひきつった顔の赤也と仁王、にこにこ笑顔の幸村、そして―――…その他のテニス部レギュラーと花井さんがいた。

「あ、あはは?」

赤也は誤魔化そうとしたが、誤魔化されてなんてやらない。だって今にも若干名からの視線で死にそうだもん。

「赤也と仁王が小夜さんに教えてもらうっていうからついでに俺らも、と思ってさ。」

にこにことした幸村くんが口を開いた。そしてその横で顔を青くした仁王と赤也になんとなく理解してしまった。

(大方勉強会休むって言って理由聞かれて、無理矢理この状態ってとこかな―…。私の気持ちも考えて!幸村くん…!)

「さ、勉強始めようか。」

至極機嫌のいい幸村くんの声で勉強会が始まった。


「ねぇねぇ、精市、ここ分かる?」

花井さんが数学の教科書片手に幸村くんに近づく。でも、

「あぁ、数学なら柳生が得意だから柳生に聞いたら?」

「え、でも…!」

「ね?」

幸村くんの絶対零度の笑顔と共に告げられた拒否に花井さんは柳生のもとへ向かった。

「先輩、分かんないっすー!げんらいちょうって誰っすか?!」

「はぁ?」

げんらいちょう?ほんとに誰だよ。

そう思い赤也のノートと問題集を覗きこむ。

「あぁ、源頼朝ね…。鎌倉幕府を作った人だよ。ご恩と奉公の武士社会を作った人でもあるけどね。」

「みなもとのよりとも?あ、聞いたことあるっす!ご恩と奉公…。じゃあここの答えは奉公っすか?」

「うん、そだね。赤也、まず問題解く前に暗記からしようか。私のルーズリーフ貸したげるから、それだけまず覚えなさい。」

私はバインダーから鎌倉幕府付近の時代を纏めてあるルーズリーフを数枚赤也に手渡した。

「っす!うわ、ちょーきれー。分かりやすっ!」

赤也のみみずがはったようなノートと比べれば大抵分かりやすい方に入るから無駄に誉めないでほしい。赤也が私関連で何か言う度に花井さんからびしびし視線が来るから!多少慣れたとは言え、やっぱり怖いんだから!

「小夜、ここはどう解くんじゃ?」

花井さんからの視線にびくびくしていると今度は仁王が話しかけてきた。手に持っているのは古典の問題だ。

「どこ?…!」

仁王の問題集を覗きこむと、花井さんからの視線が過去最高なくらい厳しくなった。

(うわ〜死にそう死にそう死にそう死にそう死にそう死にs)「小夜?」

「え、あぁ、そこは――…」

何だか私今日生きていられない気がする。
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