02
「はぁ?勉強会?」

目の前に並ぶのは赤也に仁王。

「そうじゃ。期末の範囲が発表になったじゃろ?」

「英語だけじゃなく、社会もヤバいことに気づいたんす…。」

「え、でもたしかテニス部って部活でテスト前の何日間か勉強会開いてるんじゃなかったっけ?」

私のこの言葉に2人が苦い顔をする。

「…………まぁ。」

「……そっすけど…。」

(あれ、何かまずいこと……あ。)

「あーもしかして花井、さん?」

仁王と赤也の顔が分かりやすく歪められる。どうやら当たりらしい。

「…ん。」

一応返事は返ってきたが花井さんのことを考えるだけで嫌なのか話は全く発展しない。

「だからお願いしますよ〜!今回から変な制度も加わったじゃないっすか!赤点取れないんすよ〜!」

「…俺も古典だけは無理ナリ。」

「あぁ、さっき担任が言ってたね。」

2人が懇願するようにこちらを見つめてくる。何だか断りづらいなぁ。

「「ダメ(かの?/っすか?)」」

「、まぁいいけど。」

「っしゃ!」

「やったナリ!」

何だか流された感が否めない。

「でも、勝手に勉強会抜けてもいいの?」

「「………。」」

駄目らしい。

「………はぁ、ちゃんと許可取ってくるんだよ?」

「はいっ!」

「わかったナリ!」

なんて分かりやすい2人組みなんだろう。確か仁王に至っては詐欺師か何かじゃ無かっただろうか?
つい苦笑いが漏れるものの、何だか中学生らしくて微笑ましかった。



「ということで勉強会休むナリ。」

「俺もっすー!」

「何が「ということで」なのかな?」

「プリッ」

「ひぃ!」

幸村の絶対零度の笑顔が向けられる。仁王は受け流すも、赤也は完全に脅えきっている。

「え、俺だけにあの気違いと勉強しろっていうの?なんなの?馬鹿なの?死にたいの?」

「……プ、プリッ…」

「ひぃいい!」

幸村の恐ろしいまでのプレッシャーに仁王も流せなくなっている。赤也に至っては今にも逃げ出しそうだ。それが出来ないのは幸村にがっちり腕をホールドされているからなのだが。

「ぶっ部長!痛い、痛いっす!」

「ふふ、何で休むのか言うよね?仁王?」

「……ピヨッ…」

「言 う よ ね ?」

「………はい。」
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