![]() | 「美羽、俺たちがファンクラブの奴等に言って来てやったから安心しろよぃ!」 ブン太が爽やかな笑顔と共に吐き出した言葉に私は内心ほくそ笑んだ。 (ふふっ計画通りだわ!この調子よ!) 「、ブン太知ってた、の?」 「もちろんだよぃ…足、大丈夫なのか?」 「だっ大丈夫だよ、全然歩けるし!」 でもここであえて何がとは言わない。だって何がを言っちゃうとその時点で私は嘘を吐いたことになるでしょ? 「当たり前だぜぃ!俺は、その、美羽がだ、大事だからよ!///」 嘘をつかない、それを続けるだけで私の言葉からは嘘特有の薄っぺらさが抜けるんだ。 「あ、ありがと!///」 (でも、私が本当に求めているのは仁王いや、雅治、貴方だよ。) でも雅治を手に入れるにはもう1つ、丸井たちに誤解をしてもらわなければならないのだ。でも、どうやってその話題にもっていくか、それが問題なんだ。 「何か皆にも迷惑かけちゃったみたいでごめんね…。」 「美羽が気にすることねぇよ!むしろ俺らがやりたくてやったことだからよ!」 「ブン太は優しいね!あ、それでも皆にお礼言いたいからお昼一緒に食べない?」 不安げな表情を作り、断られないように動作にも注意を払う。 「もちろんいいぜ!」 「良かった!昨日は一緒に食べられなかったから嬉しいな!」 「あ、そういえば昨日小夜となに話したんだよぃ?」 (かかった!それにしても…小夜、ね。何でそんなにあの女と仲良さげなのよ…!) 激しくなる内心を隠し、話を続ける。 「!…、その、ね?私小夜ちゃんと仲良くなりたくて、…で、でも…!」 何故か怯える女の子、そんな演技をする。まるで、私が何かされたかのような誤解を与えるために。 「もし、かして…あの、足のけ、がは…」 「っ……」 ぎゅうっとスカートを強く握りしめる。 「嘘、だろぃ?あいつが、そんな、こと…」 (まだ落ちないの?!何なのよ、あの女!!) 「ち、違うよ!きっと私が何かしちゃったの!気づかないうちになにか、しちゃったの…。きっと、そう、なの……!」 自分が傷ついても相手を庇う健気な少女。そんな子を目の前にして、その上好きなら尚更疑えないでしょう?尚更守ってあげたくなるでしょう? 尚更、相手が憎くなるでしょう? 「っ!小夜がんなことするなんて…!いい奴だって信じてたのに…」 口元が緩みそうになるのを俯くことで隠す。 「っ許せねぇ…!!」 丸井がついに、言った。私を信じきったという証拠のその一言を豊満な悪意をこめて、吐き出した。 仲が良かっただけにきっと憎悪は普通の何倍にも膨れ上がっているはずだ。 私はあの女の顔を思い出した。私の嫌いな、全てを見透かしたようなあの顔を。いつもは憎しみしか湧いてこないはずなのに、今は自然と笑いたくなった。 (これであんたは終わりよ、夢月小夜…!) |