04
「しつれーしまーす。」

放課後、私は保健室に向かった。

「どうしたんだよ。珍しいじゃねえかよ。」

なんだか拗ねたようなゆーちゃんに出迎えられた。なーにを拗ねているんだろうか。

「もしかして、私来なくて寂しかった?」

「…っ?!」

「え、もしかして…図星?」

「っせーよ!」

顔を腕で隠しそっぽを向いたが耳が赤くなってるのが私からまる見えだ。

「(え、可愛い(笑))ごめんね?最近忙しくてさ、」

「だからっ!ちげーから!」

少し焦っているのがさらに可愛く見えてしまう。

「え、私は寂しかったけどゆーちゃんは違った?」

「っっ!」

確信犯なんて言わないでほしい。だって可愛いものはからかいたくなるでしょ?

「違った?」

眉を少し下げてショボくれてみる。

「っだぁー!そーだよ!寂しかったっ!!///はぁ、もーお前やだ…。」

「良かった!一緒だね!」

にやにやと顔が弛んでしまうのは仕方ないと思う。ゆーちゃんがツンデレなのが悪い。

「にやにやすんなっ!//」

バシッと頭を叩かれるけど、照れ隠しがまる分かりなので痛さもあんまり感じない。

「ゆーちゃん、いたーい!」

「はぁ……、え、俺年上だよな?実は俺中学生なの?」

少しからかいすぎたのか何だかゆーちゃんが鬱モードに入りそうだったので慌て話題を変えた。

「ところでさ、今日は聞きたいことがあったんだ。」

「何?」

話題を変えたのがあからさま過ぎたのか、まだどこか暗い声で返事が来たのは。

「今日の昼休みに結構大胆に足くじいた女の子来なかった?」

「はぁ?んなの来てねぇけど。」

ビンゴ。やっぱり彼女は嘘をついてる。部室にも多少はテーピング道具はあるだろうけど湿布は保健室にしかないはずだしね。しかも部室まで行くとなると保健室に行くよりも時間がかかる。何よりゆーちゃんが見ていないのに保健室に来ているはずがない。

「なに、また何か遊んでんの?」

にやり、と笑うゆーちゃんはきっと私の意図に少なからず気づいているのだろう。この人は妙に勘が鋭いから。

「まぁね。」

「あんまり深く首突っ込むなよ。面倒くせぇぞ。」

優しい彼は止めはしないけど牽制を必ずかける。私のことを心配してくれているというのが分かるのでいつも邪険にはできないんだ。

「うん、分かってるよ。いつもありがと。」

「、おう。」

「それじゃあ今日は帰るね。また明日もゆーちゃんが寂しくないようにくるから!じゃばいばい!」

「誰が寂しいだっ!…はぁ、気をつけて帰れよ。」

本当にいい人だなぁ、なんて思いながら私は帰路に着いた。
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