02
「あのね、ちょっといいかな?」

昼御飯を食べ終わり本を読んでいると、花井さんに話掛けられた。

「うん、いいけどどうしたの?」

「あっここじゃ、ちょっと…。」

確かに。君は何かと視線を集めるからね。今だって、ほらこっちにスッゴく視線が集まっている。

「じゃあ中庭でも行こうか?」

「うん、ごめんね?」

背中をたくさんの視線に見送られながら教室を後にした。


「で、どうしたの?」

中庭に着くと、幸か不幸か人は誰一人いなかった。

「あのね。私、スッゴく小夜ちゃんが邪魔なの。だから、これから頑張ってね?」

花井さんは私に向かってにっこりと笑い、そう言葉を吐き出した。

「は?」

花井さんの言った言葉に理解が追いつかない。
えーっと…頑張ってって、何を?邪魔って私大して話したことないよね?てかわざわざ邪魔って言うために呼んだの?え、この子やっぱりどこかおかしいの?

「ふふ、まぁ今は楽しんでるといいよ。私はただの馬鹿な逆ハー主とは違うんだから!」
彼女は不敵に笑い、勝手に訳のわからない宣言をして去って行った。




「なんなんすかあいつ?!」

ただ呆然としていると背後から声が聞こえた。

「…、赤也…。」

振り向いてみると、赤也が顔を歪めながら立っていた。

「なんでいんの?」

「や、今日ミーティングだけだからその後前言ってた勉強教えてもらおうと思って小夜さんのクラスに行ったんすよ。今日大丈夫か聞こうと思って。
そしたらあの女に連れられてったっつーから探してたんすよ。」

「あぁ、そういうこと。」

「とりあえず教室戻りましょうよ。」

「そだね。」

疑問が解決したところでとりあえず赤也の提案にのり、2人で教室まで歩いていく。

「でもあれってホントになんだと思う?私花井さんと話したことすらなかったと思うんだけど…」

「あいつ普段からあんなんすよ?何か思い込み激しいっつーか、自分のいいようにしか考えないっつーか…。」

余程めんどくさい性格なのだろう、赤也の顔が死んでいる。

「うーん…。でも頑張ってってどういうことだと思う?何だか嫌な予感がするんだよなぁ、」

何だか面倒くさくなりそうな、疲れることになりそうな、そんな予感がするのだ。

「まぁあんな気違いのことなんて気にしないほうがいいっすよ?」

気違いって、おいおい…。えらく毒舌な評価だねぇ。

「うーん、そうかなぁ…。」

「そうっすよ!まぁ小夜さんに何かあったら俺がどうにかしますから!」

にかっと笑う赤也に何だか嫌な予感も吹き飛んだ。

「ふふ、ありがとう。期待してるよ(笑)」

「なんすか(笑)って!期待してないでしょ!!」

「気のせいだって!(笑)」

「ほらまたぁ!もうむしろばかにしてるっすよね!?」

「あははは!」

そんな風に赤也をいじりながら二人で教室に帰った。
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