02
俺の夢月小夜との邂逅はこれで2度目だ。たったの2回だ。

実際に会ったのはたった一度だけに過ぎない。けれど、俺には確信があった。
彼女は、絶対だ。
自分でそう決めつけておきながら何の絶対か、なんて説明はできない。
ただ、弦一郎のように、皇帝と呼ばれる彼のように力的な絶対とは違う。しかし、幸村のように、神の子と呼ばれる彼のように、精神的な絶対とも違う。

そう、それは、ただ存在しているだけで理解してしまうような、当たり前過ぎて認識できないような、そんな絶対だ。

なぜ彼女がここまで異質を放っておりながら、有名ならないのか、その理由はそこにあるように感じる。当然で必然。彼女が当たり前過ぎて周りが気づかないのだ。

彼女と改めて対峙して会話してそれがいやというほど思い知らされた。

俺の問い詰めに彼女は知らないと言うけれど確実に知っているだろう。今の俺には彼女の口を割らせるだけのそんな力はないが、絶対に割らせてみせよう。


しかし、俺のそんな考えまでもお見通しなのか、彼女は言った。

チャンスをあげるよ。

と。しかし裏を返せば、そのチャンスの使い方を間違えれば彼女は二度と俺を見向きもしないだろう。
きっと彼女は面白くないものには興味も示さないだろう。

彼女は続けて

―よく考えてお使い。―

そう言った。つまりは使い方さえ違わなければ彼女は全てを教えてくれるのだろう。

(この俺が情報を見逃すなんてそんなことはしない。見切りをつけられるなんて愚かなこともしない。否、したくはない。俺は俺の全てを使って正しい答えにたどり着こうじゃないか。)

久しぶりの高揚を感じる。得たいのしれない彼女、絶対な彼女。そんなものに挑む。このスリル。


俺はこの賭けに勝つ。そして彼女に認めさせよう。俺を、俺という存在を。
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